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宮古市田老地区から見た初日の出

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宮古市は、本州最東端。
ここで年越しをしようと決めたのは、本州で一番早い初日の出を見たいという思いがあったからなんだけど、浄土ヶ浜からは海にのぼる日の出はみえないという。

それでも浄土ヶ浜でみるか。
6時30分に浄土ヶ浜から出航する初日の出クルーズに乗るか。

悩んだ末、タクシーの運転手さんに聞いてみると「たろうかなあ」という。遊歩道が津波で流されたので海の上にあがるポイントまでいけるかどうかはわからないということだったんだけど、駄目元でそこに行くことにした。

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宮古市中心部から20分以上走っただろうか。
突然、家がすべて津波で根こそぎ流されてしまっている風景が現れた。

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道路の表示と、道沿いに延々と続く堤防のような建造物を見て気づいた。

「たろう」は「田老」だ!!!


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町を津波から守るため「万里の長城」とも言われた巨大な防潮堤を町の中に二重につくり、でも今回の巨大すぎる津波はそれをはるかに越えて町を襲ってしまい、結果として、防潮堤の存在ゆえ安心してしまったり、あるいは津波が押し寄せてきていること自体に気づかなかった多くの住民が亡くなってしまった場所だ。

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実際にすごく巨大だった。
海よりにある防潮堤は津波の威力で壊れてしまっており、残っているのは陸地かなり入ったところに作られた二本目の防潮堤。

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家が建っていた時であっても、これほどの大きさと長さの防潮堤は、きっと街の風景を分断する異様なものだったろうと思う。交通など不便になることも多かったろうし。

それでも津波から町を守るためにここまでのものを作ったのは、それだけ過去の津波被害が大きく、津波に対する危機意識が高い地区だったということなのだろう。

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でも結果としては「防潮堤があるから・・・」と高台に逃げる意識が働かず、多くの方が亡くなってしまった。

今回の大震災の教訓を受け、新しい地震・津波対策がこれから練られていくのだろうと思うけど、ハードでもしっかり対策しつつ、それで油断してしまうことがないようにするバランスって結構難しいのだろうなとも思った。

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そして初日の出。
港の端から岩場をぐるっとまわりこんで外海が直接見える場所にいきつく遊歩道は、部分的に壊れていたものの、問題なく歩けた。

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まあ、途中までだけどね。
自分以外には、家族連れが2組ほどと、個人できている人が数名。

田老地区がこんな状況でなければ、地元の人でもっとにぎわっていたのかもしれない。仮設住宅は少し離れたホテルの敷地内などに作られたそうなので。

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海にはシルエットも美しい岩がにょきにょきと。
「三王岩」という名前だと、あとでガイドブックを見て知った。

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水平線には雲がでてしまっていた。
日の出の時刻になると、雲の隙間から、小さな炎のような太陽が見えた。

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そしてじわじわとゆっくり、
でも着実に、太陽はのぼってくる。

厚い雲を越えて顔を見せ始めた。

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2012年の夜明けだ!!!

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新しい年を、明るく暖かく力強く照らしてほしい。
手を合わせて祈った。

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とその時、赤く染まった海面をスピードあげて船が港のほうに戻ってきた。

お正月の飾り付けをし、大漁旗もかかげた漁船だった。
港の人たちで初日の出を海の上から拝む行事なのかもしれない。

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浄土ヶ浜で初日の出見ようと思っていた予定は大きく変わり、往復タクシー代が予想外の手痛い出費になってしまったんだけど、本当にすばらしい初日の出を見ることができた。

「いい年になるといいですね」
「いや、平凡でいいよ。いいことが大きいと悪いことも大きい。何もないのが一番いい」

とタクシー運転手さん。

そうかも。

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