東京・西多摩エリア"渓谷を望む絶景温泉"めぐり(7)檜原村名物「おいねめし」を求めて~三頭山荘・兜屋旅館・都民の森~
「檜原村に行ったら是非"おいねめし"を!」
出発直前にそう教えてもらった「おいねめし」なるもの、実はお恥ずかしながら初耳だった。
なんでも檜原村特産のじゃがいもを使ったすいとん料理とのこと。
他では食べられない料理だそうなので「それは食べておかねば!」と、ネットで検索し、おいねめしが提供されている三頭山荘に行った。
とにかく屋根が立派な建物。
この屋根の形と軒下の厚みは、もともと茅葺だったのでは?と思わせる。
その予想は的中。
建物内には、過去の写真が掲げられていた。
福島県・大内宿近くの温泉街にもこんな感じの建物が多かったが、茅葺屋根の維持は本当にコストかさむものなのだろう。
誰もお客さんいなかったが、お食事処ともあったので勇気をだして入ってみた。中から愛想のいい女性がでてきて中に案内してくれた。
かなり広い部屋で、奥は畳の上だがテーブル席も用意されていた。
お、ありました「おいねめし」!
「じゃがいも生地のすいとん汁」と書かれている。
それにミニ舞茸天丼・五目卵焼き・季節の小鉢・煮物・香の物がついて税込1,570円。
入浴セットだと2,300円だ。
他にもそばうどん、ヤマメやイワナの塩焼きなどがある。川魚の刺身定食も魅力だけど、やっぱり初志貫徹、おいねめしだ!
「ああ・・・揃っているかしら。ちょっとお待ちください」
そう言って奥に消えた女性。
しばらく経って戻ってきて「今まだ帰ってきていないので・・・他のものなら大丈夫なんですが」とのこと。
ご主人がということなんだろうか。
「すいとん」なので、一番簡単なのかと舐めていたがそんなことはなく、材料次第の料理らしいことはわかった。
お茶までいただいてしまっていたのだが、ここはやはり「おいねめし」にこだわろうと思い、退出した。
そして向かったのは、三頭山荘から数十メートルの場所にある「兜屋旅館」。
ここもたから荘同様、立派な兜造りの建物だ。
おいねめしをやっているかどうか不明だったが、飛び込んでみた。
ここはかなり高級感漂う旅館だった。
「おいねめしってやってます?」
そう聞くと、立ち振る舞いも洗練された男性スタッフが残念そうな顔でこう言った。
「申し訳ありません、本日はご予約のお客様のみとなっておりまして・・・」
がーん。
周辺にはもう、他にお食事処らしきところはなかった。
朝食はコンビニで買ったサラダと菓子パン一個なので、正直おなかが空き始めている。東京奥地でまさかのランチ難民。
ネットで検索すると、奥多摩周遊道路沿いにあり、奥多摩町との境目にも近い「都民の森」内のレストランでおいねめしを出しているらしい。
おいねめしを求め、全く予定していなかった都民の森へ。
レストランは駐車場から坂をしばらく歩いていった高台にある。
心の中で「おいねめし」と唱え続けながら、息を切らして登った。
到着!
ここは都民の森の中の施設のひとつで「森林館」。
他に「木材工芸センター」「里山休憩小屋」「炭焼き小屋」などがあり、木工教室や炭焼き体験教室などが開催されているそう。
この森林館でも竹馬づくりや、丸太切り体験などができるようになっている。
勝手に切って持ち帰っていいらしい。
初めて知った檜と杉の木の違い。
そして建物内にレストラン「とちの実」が。
入口には大きく「おいねめし!」と書かれている。最後の「!」がまるで自分の心の内を表しているようだった。しかし・・・
メニュー隅から隅まで何度見直しても、「おいねめし」がない。
もちろんその横に置かれた自動販売機にも。
店内に入り、女性スタッフに聞いてみた。
「今はもうやってないんでしょうか?」
「いえ、通年やっているんですが、材料を揃えないといけないので完全予約制なんです」
( ̄□ ̄;)!!
さらに基本的に2人以上での予約が必要らしい。
「他でもやっていますけど、予約が必要なところが多いかも」
とのこと。
うーん、完全に舐めてました「おいねめし」を。
この先はもう檜原村と奥多摩町の境で店もないことはわかっていたので、名残惜しいがおいねめしは断念することにし、替わりに「じゃがいも」つながりで、「じゃが芋ねぎ味噌(400円)」を注文。
蒸したじゃがいもを切ったら一個傷んでいたとかで、替わりに芋もちが3つついてきた。ラッキー♪ 味噌は手作り味噌のようなちょっと癖のあるもので、好みによってマーガリンもつけていただくのだとか。
甘味がありほくほくした美味しいじゃがいも。
じゃがいもに塩をつけて食べることはよくあるが、味噌もなかなか合う。
レストランの角には干し柿。
サンショウウオの観察会もあるようだ。
都民の森は、また改めて一日がかりで来てみてもよさそう。できれば冬になる前の季節に。
レストラン二階は無料休憩室とありあがってみた。
人も少ない時間帯だったので誰もいないかと油断していたら、男性二人が思い切り休憩中でびっくり。
なんと畳敷きの休憩スペースまである。
テラス部分。
檜原村の特産品を紹介するコーナーもあった。
やはりじゃがいもらしい。
傾斜地だらけで田畑作るのに不利な土地だが、水はけが良くじゃがいもの生育には好条件なのだとか。
じゃがいも焼酎も。
数馬の湯には柚子がたくさん売られていたが、柚子も特産のよう。
じゃがいもの種類いろいろ。
ここで初めて知ったのだが、「おいねめし」の「おいね」はじゃがいもの品種名だった。
「おいね」そして「おいねつるいも」。
幻のおいねめし。
残念ながら見ることすらかなわなかったが、「おいね」というじゃがいもがあることを知っただけでも勉強になった。
いつかきっと、「おいねめし」リベンジに戻ってくるぞ、檜原村!
「tokyo reporter 島旅&山旅」というプロジェクトの取材レポーターとして、「青ヶ島」を二泊三日で旅し、記事を書いています。