中国各地の“名物料理”が集まったイベント&黄河
最初の文字が、原型をとどめないほどに略されちゃっているけど甘粛省の省都「蘭州」。街中を横たわる黄河を見て、名物の「牛肉面」を食べるため、立ち寄ることにした。
何が入っているのか全然想像もつかないんだけど、とにかく大きな袋を担いだ乗客たちが降りてくる。20代前半くらいの女性が多い。背負って階段を降りていけるくらいだから、重たい物質が入っているわけではなさそうだけど、(一度、階段のぼっていた時にいきなり前方から転がってきて、私がおさえたことがあるが、そんな重たくなかった)、なにが入っているんだろう?
蘭州に到着する前から気になっていたんだけど、空が妙にどんよりしている。
久しぶりに曇り空?と思ったもののそういうわけでもないらしく、とにかく街中全体が「朝もや」の中みたいな状態が昼過ぎになってもずっと続いていた。
ガイドブックによると、工業都市としても公害都市としても有名なようで、これはスモッグなのかもしれない。だとしたらすごいなあ・・・普通に、次の交差点が、高層ビルの上のほうが、もやで見えなくなっているくらいなので。
蘭州にきてよかった!と思ったのは、降りたバス停のすぐ近くの広場でこんなイベントが開催されていたため。
中国各地の名物料理、有名店の料理が一堂に会したというイベント。
大手食品メーカーなどの主催らしい。
各テント毎に、見たこともない料理が、おいしそうな香りと湯気をただよわせている。出店数も半端じゃない。100を超える出店で、ぐるり一周していたら、それだけで1時間かかってしまったほど。
大きな鉄板の上で、いい音を立てながら炒めていたのは・・・
え!?
もしかしなくても、ひとつひとつ、鳥の形してない?
ひよこ?
どこの名物料理なのかよくわからないけど、昆虫系もあった。
地元の人も、かなり奇異の目で眺めながら、「お前食えよ」「おれが金だすから挑戦しろ」など、互いにつつきあっていた。
天津の有名店。
自分も、昨年行った時に立ち寄った記憶がある。
その場で実演してくれるので、その手さばきを見ているだけでも楽しく、時間がどんどん経過してしまう。結果、蘭州に立ち寄った目的の「牛肉面」は食べずに終わってしまったんだけど。
周囲は高層ビルが立ち並ぶ、街の中心部。
東京でいうと「日比谷公園」「新宿中央公園」って感じの場所かな。
つい目がいってしまうのは、鳥が頭も足もくっついたそのままの形で料理されているもの。そういえば、欧米人も、国によると思うんだけど、「魚の姿のまま」調理されているものをグロテスクに感じると聞いたことがある。日本人的には全く違和感ないんだけど、たぶん同じ感覚なんだろうな。
(「シーチキン」というのは、そういうことで、魚に対する抵抗感を薄めていると聞いたことも)
竹筒に入ったご飯、せいろで蒸した点心なども気になる。
でも、自分が食べられる分量は限られているので、おなかにたまりそうなものは我慢。
お好み焼きみたいなこれを食べてみた。
ふわふわしていて、軽くてGOOD。
さっき、鉄板の上で転がしながら炒めていたのは、ひよこじゃなくて雀だったことが判明。
上海料理の、蟹を串にさして揚げ、スパイスをかけたものを売っていた女の子。
写真右側の子が、「あ、そうなんだ」と自分がぽろりこぼした日本語を聞きつけ、話をしてきた。
「日本の方ですか?」
「私は日本語学科の学生です」
「今日はバイトです」
まさかこんなところで流暢な日本を聞くことになるとは。びっくり。
「今日、蘭州にきたのはよかったです。今週だけですので」
そうなんだ、ラッキーだったな。
日本語の勉強、頑張ってね!
たくさんある中から、何を食べたらいいか。
その判断基準はあまり難しくなく、とにかくたくさん地元の人が集まっているところ。
これは食堂探しの時も一緒で、ガイドブックとか頼らず、とにかく“地元の”人がいっぱいのところを探していれば失敗はない。
ただこの時は、人気店の前には長蛇の列ができてしまっていて、並ぶ気力も失せるほど。このイベント会場の中で最も人が集まっていたのは、この上海の名店だった。
香草なんちゃら鶏というのも人気だった。
そういえば、ウルムチで買って食べた鳥も、不思議な香りがついていたけど、あれかな?(自分の口にはあわなかった)
いくつか食べたうちの一つはこれ。
黒いもち米みたいなのが入っていて、少し甘味がついている。上に乗っているのは梅干しだった。
駆け抜けたいほど耐えられない臭気をはなっていたのは、たぶんこれ。きつかった~!
食べた中で一番おいしかったのはこれ。
ぜんぜん期待してなかったんだけど、結構人が集まっていたので便乗して買ったら、めちゃうま!単なる肉団子ではなく、内側に何か濃い~味のするものが入っていた。
来場者は、比較的年配の人が多かった。
これだけ国土が広いと、他の地域の料理とか、もう外国料理みたいなもんなんだろうな。
そこに、太鼓を抱えた楽団?登場。
おばちゃんばかりなんだけど、揃いの髪飾りもつけてとてもかわいい衣装。動きも太鼓も決まっていた。来場者は、こういうのに慣れているのか、食べるのに夢中なのか、あまり注目をしていなかっただけに、ずっとビデオを構えて追いかけていた観光客の自分に、笑顔を送ってくれた人もいた。
きりがないので移動。
門があまりに恰好いいのでつい入ってしまった一角では、
どうやら古物などのフリーマーケットが開催されていたようだった。
好きな人だったら、きっとわくわくしまくるんだろうな・・・というようなものが、大量に並んでいた。
そして、さんざん寄り道をしてしまったが、ついにたどりついた「黄河」。
ナイル河などと並び、世界4大文明を生み出した川だ(たしか・・・だよね?)。
思っていたより川幅はなかった。
うちの近くの江戸川と同じくらいかな?
あるいは、実家近くの利根川はこれよりあるかも。
ただ驚いたのは、川の流れの速さ。
かなりまだまだ先が長い川とはいえ、これだけの大きさの川が、かなりの勢いで流れていた。
あとやっぱり驚きなのが、あまりに視界がないこと。
川幅はそんなにあるわけでなく、別に早朝というわけでもないのに、対岸がかすんでいる。
ケーブルカーで黄河すぐ脇にある山に登って、そこから黄河を見下ろそうと思っていたのに、そもそも、その山すら見えないんだから駄目だよなあ・・・。
(国内)観光客がかなり集まっていたのは、歩道のみのこの橋。
その手前にひとだかりができていた。
野次馬根性のブロガーなので、ビデオカメラ片手に近寄ってゆく。
テレビカメラが入っていた。
女性のキャスターがマイクを向けているのは警官。
なんか、日本のお笑いでこんな顔の人いたよなあ・・・。
警官の向かい側に座り、ぽろぽろ涙を流して泣いているのは、珍しく金髪に染めた若者。
なぜ泣いているのか不明。
警官がなにをしゃべり続けていたのかも不明。
そもそも、自分がなぜビデオカメラをまわしているのかも不明。
ってことで、時間もないので先を急ぐ。
当初の予定のうち、限られた時間で「ケーブルカーで白塔山に登る」か「牛肉面を食べる」か悩んだが、前者を優先することにした。
ケーブルカー乗り場には自分以外誰もおらず、貸切状態。
途中、一回だけ下りのケーブルカーの中に女性二人連れを見かけ手を振ったが、それだけ。
チケットには「内含保険」の文字。
安心していいのやら悪いのやら。
想像していた以上の距離で、ぐんぐん山の斜面を登ってゆく。
やっとたどり着いた山頂にはこんな看板。
ケーブルカー以外にも、いくつも山から黄河を超えてケーブルがはられていると思ったら、こんなアトラクションがあるらしい。
ぶらさがった状態で、険しい山の谷あいをすべりおり、黄河を超える・・・。
いやー・・・絶対無理だ。
見下ろしただけで、久しぶりに足がすくんだほどだから。
(日本みたいに、やたらめったら安全柵がとりつけられたりはしていない)
時間もないのですぐ下った。
途中、黄河沿いのモスクから、お昼のアザーンが響いてきた。
これを聞けただけでも、蘭州に来て、ケーブルカーに乗った甲斐があった♪
そして再び列車へ。
今度は、8時間ちょっとの旅程で蘭州から西安へ。
20時間以上のバス旅を経験してしまうと、8時間が短く感じられてくるから不思議だ。
今回一緒になったのは、中国人の夫婦。
最初、話しかけられたけどわからず「中国語できないんです」と言ったきり、まったくコミュニケーションなかったんだけど、食堂車から戻ってきてにっこり会釈したら、ふっくらした奥さんのほうが、笑顔で自分のベッドをたたきながら、「ここにどうぞ座りなさい」と。
私がずっと上のベッドにいっぱなしなのは、二人に遠慮してるからだと思ったのかもしれない。
「言葉が通じないときは、食べ物で好意を示せ」
自分がはじめて海外で生活をした時に学んだことのひとつがこれだった。
かばんからミカンを取り出し、ふたりに進めてみる。
「いや、私たちはこんなにたくさん食べモノを持ってきちゃったのよ。だからいいわ」
丁重に辞退されたがそれも納得で、ふたりのベッドの間には、「ほんとに終点までに食えるのかよ!」というような、大量の食糧があった。明るい奥さんにやさしそうな旦那さん。仲がいいみたいで、途中、ずっとおしゃべりしながら、二人でずっと何かを食べ続けていた。
私がもらったのはこれ。
皮ごと食べ、りんごに近い食感だ。
名前を紙に書いてもらったものの「?」だったのだが、西安についてから判明。なつめだった。乾燥したものしか食べたことがなかったのでわからなかった。
そして、夜22時過ぎに西安到着。
今回の旅行、街移動はこれで終わりだ。
駅看板やプラットフォームなどを撮っていたら、
自分がいたコンパートメントのカーテンの向こうで何かが動いているのに気づいた。
奥さんが、あたたかい笑顔で手を振ってくれていた。
中国語会話本を片手に、話をさせてもらった二人。
旅の途中で出会った人のほとんどは、
もう二度と会うこともない人たち。
なんか、ぐっときてしまった。
西安駅をでたら23時過ぎ。
いきなり目の前に城壁が横たわっていてびっくり。
周辺はホテルとタクシーの客引きがかなり多く、路線バスも終わりかけていた。地図を買ったりしていたら財布を落としてしまうという、ありえないような注意力欠如によるトラブルまで発生し気分的にめげてしまい、予定していたホテルまでたどりつく気力・体力がなくなった。
で、途中で見かけた「招待所」に転がり込む。
柳園でも駅前の招待所に入ってしまったけど、本当のところ、この手の安宿は、外国人旅行者向けには開放されていなかったりもする。まあ、たぶん気にせずみんな泊まってしまっていると思うけど。
で、写真右側の階段を上ったところにシングルの部屋があった。
トイレ・バス共用。
テレビもちゃんとついている部屋。
値段は一泊25元(375円)。
自分、パソコンをネット接続するというニーズさえなければ、全然このクラスの部屋で十分なんだよな、寝るだけなんだから。。。
次に中国旅行するときは、パソコンは持たず、安く抑えてまわろっと。