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[冬読書] やっぱ楽にいきたい

写真発売開始後、丸善の丸の内本店まで買いに出かけた。きっと書店の人も聞きなれないよな出版社の本、そこまで行かないと見つからないかなと思ったのだ。

でも行ってみたら、大量に積み上げられていた。レジで購入すると、アメーバブックスの記念品までもらった。普段、Amazon派の自分だが、書店で買ってラッキー♪

この本を買ったのは、アメーバブログで「昔エジプトに住んでた頃」を始め、そこで山川氏のブログ「イージー・ゴーイング」を時々覗きに行くようになったことがきっかけだ。

写真

それまでは、名前しか知らなかった。
でも全く気負いのないブログは、いわゆる「有名人ブログ」のとっつきにくさがなく、ついコメントを入れたくなるよな雰囲気が漂っていた。実際、入っているコメントも気さくな感じだ。そんな場をさらっとオンライン上に作り上げてしまうことができる作家に、とても興味を持った。

本のタイトルは「イージー・ゴーイング」、
サブタイトルは「頑張りたくないあなたへ」。
冒頭の文章、あとところどころを、ブログでも読むことができる。

イルカのように泳ぐことができないあなたへ

<はじめに……イルカのように泳ぐことができないあなたへ>
 ぼくらはイルカのように自由に泳ぐことができない。
 鳥のように空を飛ぶこともできない。
 ネコのように気儘な一日を過ごすことさえできない。

(中略)

 でも、自分は不器用なんだ、とあきらめるとほっとするところもある。あなたもぼくも、どうせイルカのように泳ぐことはできないのだ。
 頑張ってるのに、うまくいかないことだってあるだろう。
 それでも、いつかイルカのように、と流行りのポジティブ・シンキングを信じてもっともっと頑張っているあなたはとても真面目で頑張り屋さんなんだね。
 でも、いつもどんなときでもずっと頑張りつづけることは、どんな人だってできないんだよ。
 時には、ちょっとばかり海岸にでて、日なたぼっこしてもいい。

ブログ記事「イルカのように泳ぐことができないあなたへ」(2004.09.13)

自分は、あんま目標とか計画とかをばしっと持たず、うだうだ生きるのが合っている。それに気付いたのは、3年ちょい勤めた銀行を辞めて、丸一年、見事なまでのぷー花子生活を送っていた時だ。それまでの、紺のスーツにパンプス履いて、日経新聞を読みながら、早朝の電車に揺られていた生活は一転、学生時代以上に自堕落な生活に突入した。桃栗3年で、あっけなく脱落しちゃった者として、今でもかなり自己嫌悪感やコンプレックスはあるが、解放感も大きかった。

なんか、まじで無理していたなあ・・・と思う。

もともと、集団の中できちんと人間関係を作ってゆくのが得意ではなく、友人も少ない。会社以前に、「集団の中で生きる」のが苦手だった。東京の街中を歩いていると、よく衝動にかられた。足を止め、アスファルトの上に倒れこみ、そのまま地面深くに吸い込まれて消えることができたらどんなに楽だろう・・・。

まあ、別に大手町の通りでそれをやっても、多分通行人が慎重に脇によけ、何事もないかのように通り過ぎるだけで問題なさそうだが、多分地下鉄とか駅のプラットフォームとかでそういう衝動に負けると、罪のない通勤客を多数遅刻させることになってしまう。

自分は、自分がそんな馬鹿なことをしないと言い切れない。バランスを崩しやすい内部構造なことはよく理解している。とにかく自分自身の心理的な負荷を極力減らすこと、ネガティブな方向に暴走しないよう、適度に心をマッサージすること、自分を縛らないこと───それがとっても重要だ。

最近は、20代の頃に比べれば、ずっと楽に生きることができるようになってきた。もう一度会社に復帰してみようかな、できるかな、という気持ちにもなってきた(まあ、朝起きれる自信はあんまないが)。

それでも、時々果てしなく疲弊している自分に気付く。自分で自分を傷つけたいのだろうか。牛が食べたものを何度も胃から戻して噛むように、ただつらい記憶だけをエンドレスに考え続けたり、抑えられない苛立ちをずっとくすぶらせていたり、そして突如、発作のような衝動に襲われる。それは正直・・・とても怖い。

そして、当たり前のことだが、そんな思いは自分だけのものじゃない。
多分、誰もがみな、内側にそんなものを抱えて生きてきている。

この本、そんな時にどうやって自分を楽に解き放ってあげればいいのか、その方法がいろいろ見つけられる。生き方アドバイスみたいなのや説教くさい文章って、どうにもくすぐったくって読めないのだが、山川氏の文章はまったく違う。読んでいて楽しくなる。時々、くすっと笑いたくなるようなエピソードも含まれていて、女友達との会話、好きな歌詞、動物の話、いろんな話が次々に飛び出してきて、気付くと最後まで読んじゃっていた。そしてもう一回通読・・・。

時々、痛点をつかれる瞬間もある。
きっと、そのあたりが自分の傷口なんだろうと思う。

出会ってよかったなと思う本がある。
この本も、自分にとってはそんな一冊だ。

+++

ちなみに、くすっと笑いたくなったところのひとつ。

「私とのことは遊びだったんですか」 そいつは、こう答えた。 「ああいうことは仕事じゃでいないからね」 その瞬間、コップの水を引っかけられたそうです。そういうしょうもない男なんだ。


イージー・ゴーイング―頑張りたくないあなたへ
山川 健一

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