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深堀りしたら実はスゴかった~「翔んだ!さいたま市の大逆転」

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NHKの人気番組「ブラタモリ」が好きで毎回見ているという人も多いだろう。
前回の舞台は東京・目白で、冒頭カメの背中の箱から出てきた旅のテーマは「目白ブランドの正体とは?」。時にちょっと懐疑的な表情なども浮かべるタモリさんと女性アナウンサーが、次々登場する専門家とともに、その謎を解き明かしていくという流れだ。

そんなブラタモリ的な知的好奇心を満たしてくれる本が出た。
タイトルは「翔んだ!さいたま市の大逆転」で、サブタイトルは「"選ばれる都市"には理由がある」。Kindle版を購入しようかと思っていたら、紙本を一冊献本してもらえることになった。

著者は60冊もの著作がある経営コンサルタントの竹内謙礼氏。特にネットショップ運営などを得意とする方で、私も以前セミナーを聴講したことがある。
でもこれは専門分野からは乖離してるし、一体なんでこのテーマなんだろう。

さいたま市住民以外は読んでも「へー、すごいね」程度で終わるのではという予想もしてたんだけど、読了してみた率直な感想。

これはおもしろい!

流石に地名も初耳という関東圏外の人だとどうかなと思うけど、埼玉県民はもちろん、関東他県の人が読んでも読み応えあるし、あらためて

「住みやすさってなんだろう」
「街づくりってどういうことなんだろう」

と地元の街づくりについて考えさせられる一冊だ。

起点は「SUUMO住みたい街ランキング2023」で、さいたま市がまさかの第3位になった話を耳にしたこと。このニュースに「ホントに?」「なぜに?」と思った人は少なくないはず。

でもそれだけじゃない。
さらに政令指定都市幸福度ランキングでも3位に輝いている。

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経営コンサルタントとして、この背景や現状を調査・分析したくなって取材開始し本に仕上げたということなんだけど、その深堀り度は目次を見てもらえると理解できるかもしれない。

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具体的な数値もたくさんでてくる。例えば「英検3級相当の英語力を持つ中学3年生の割合」。全国平均は49.2%だそうなんだけど・・・

さいたま市 86.6%

飛びぬけて高い!!

2022年の0~14歳の転入超過数は全国1位で1,520人。2位の町田市は948人だ。しかも8年連続で1位キープなんだとか。
14歳以下が自ら住みやすいからと転入してくるわけではないので、子育て世代に人気ということなのだろう。

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後半は、市役所の業務改善の取り組みや、清水市政の話なども。

個人的に非常に興味深かったのが、清水市長へのインタビューの中にでてきた「『数値』で具体的な目標を定めること」を心掛けてきたというくだり。
ネタバレになってしまうので詳細は書かないが、「住みやすい街にするための行政の取り組み」をいち市民として理解できる内容だったし、冒頭の「住みたい街ランキング上位浮上は一体なぜ?」に回帰し、お題である「変身の秘密」の解に辿り着いたような納得感も得られた。

市区町村レベルは、首長がどんな人で、どういった方針で街づくりを進められていくかによって数年単位で変化が現れる。
この本を読むと、だから市民として誰を選ぶかは大事だし、選挙時に掲げられた公約はしっかり読み込んで一票を投じなくちゃいけないんだよなとも思ったりする。

さいたま市もいいことばかりではなく課題はたくさんあり、本書はそれらにも触れている。
著者はさいたま市民というわけでも、街づくりや行政の取り組みの専門家ということではないので、地元の人が読んだら多少違和感を感じることがあったり、市政や市長への賛否もわかれるところかもしれない。でもきっと、地元民でも「ええ、そうだったんだ!」と目ウロコの最新事情が結構盛り込まれた本だと思う。

もちろん、他の自治体在住者にとっても、知らなかった「さいたま市」を深堀りするブラタモリ的面白さもあるのでおススメだ。

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