野添 ちかこ著「旅行ライターになろう」
旅を仕事にする──。
そんな言葉に憧れを抱いている人は結構多いと思う。ただ実際に「どうしたら職業としての旅行ライターになれるのか」を知っている人は少ないし、それを体系だてて語れる人なんてごく一部だ。
この本は、異業種からの転職で業界紙の記者となり、その後独立し「温泉と宿のライター」という肩書で紙媒体を中心にライターとして活躍している野添ちかこさんの本。
目次を見てもおわかりのように、内容は広範囲にわたっており、分量も濃度もなかなかのもの。こうした本にありがちな「著者の体験を時系列にまとめたライトな本」では全くなく、教科書ともいえる体系だった内容になっている。
旅行ライターとして活躍する舞台(メディアの種類など)から、記事の種類(ディスティネーション記事など)、旅行ライターがどんな経緯でその職についているかなどなど。
ライターとして独立したい人、副業として手に職つけたい人のためのトラベルライター講座も多いとこの本を読んで初めて知った。中途半端な講座に通ってカモにされるより、まずはこの本一冊買ってじっくり読む込むほうがはるかにいいかもなと思う。
もちろんライティングスキルなどはまた別の本を買って学ぶ必要があるが、旅行ライターとして活躍するために何が必要なのかはかなり理解できると思う。
紙媒体、とりわけ旅行雑誌が減っている一方、旅行系WEB媒体は次々立ち上がり、トラベルライターのすそ野は広がっている。丸2年も続いた旅行自粛期間が終わりかけており、反動で今年来年は「旅行」がかなりホットになる可能性もある。
WEB媒体で旅行関連記事を執筆するチャンスも探せば結構あるかもしれない。ただ「旅行ブロガーあがり」程度では、よほどの実力なりコネクションがなければ、お小遣い程度の単価の安い仕事しかないし、場合によっては著作権も無視したこたつ記事を量産させられるような仕事にしかありつけない。
どうブランディングしてゆくか。
自分の強みをどう生かすか。
どうしたらライターとして記名で文章を書けるようになるのか。
ライターとしての成長ステップはどんなものなのか。
旅行ライターを目指す人はもちろんのこと、既にトラベルライターとして活動を始めている人のレベルアップに役立つ情報もいっぱいだと思う。
ちなみに私もインタビューを受け、ミニサイト作り→ライターという「旅行ライターになる道」も紹介してもらっています。この本も献本でいただきました。
必要なのは「知らないことを知ろうと思う好奇心や探求心」という一文に強く同意する。
興味ある方は是非。