情報サイトでオーソリティーを目指そう!10年先も生き残る安定志向のサイト構築論
a-kiさんが先月出版したKindle本「情報サイトでオーソリティーを目指そう!:10年先も生き残る安定志向のサイト構築論」。サイト運営者なら初心者からベテランまで「買い」だと思う。サイト運営未経験でこれから何か作ってみたいという人には少々内容が高度かもしれない。
情報サイトでオーソリティーを目指そう!: 10年先も生き残る安定志向のサイト構築論(Kindle版/390円)
とりわけブログ運営だけしていて次の一手を探っている人には学び多い一冊になると思う。
「ブログだけが選択肢じゃない」
ことがまず理解できる。
また「ブログかサイト(一般的な定義での情報サイト)か」という2択ではないこともよくわかる。ブログのメリット&得意とするところ、デメリットと苦手な点を理解すれば、それを補完するためにどんな要素のコンテンツが必要となるのかが見えてくる。
私がここ6年ちょい提唱し続けてきた「ミニサイトを作ろう!」もそうなんだけど、これはある種、ブログ以前から続くいわゆる昔ながらの"個人サイト"への「復古」「回帰」であると同時に、ブログ・SNS全盛期を経て、それらの優位点も踏まえた上でバージョンアップした新しい個人サイトのあり方の提唱なのかなとも思う。
本書の中でもっとも興味深く読ませてもらったのは第3章「コンテンツ表現の3形態」だ。
a-kiさんは情報サイトの表現形態として「ブログ型」「完結型」「ツール型」の3つの形態をあげ、それぞれの特徴をあげている。メリット・デメリットそしてそれぞれの間の差異を理解できると、じゃあそのメリットを生かすためあるいは殺さないため、コンテンツはどうあるべきかということもそこから導きだされる。あまりネタバレになってしまうといけないので、一部だけ引用させてもらうと・・・
混ぜるな危険ブログ型は前述のようにフロー情報を扱いやすいことが特徴ですが、ストック情報も問題なく扱えます。ただし、ここで気をつけなければいけないのは、ストック情報にフロー情報を混ぜるとコンテンツがフロー情報化してしまうこということなのです。
ブログ初心者の方にありがちなんですが、例えば「ようやく梅雨が明けましたね」のように記事に時候の挨拶を入れてしまう人がいます。この一行を入れるだけで、後に続く情報が普遍的なストック情報であっても、日が経つに連れなんとなく鮮度の悪い情報に見えてしまいます。
情報サイト構築の第一歩は、フロー情報とストック情報をはっきり区別して記事を書くことです。
これより手前で詳しく解説されている「フロー情報」と「ストック情報」の違い、a-kiさんが定義する「情報サイト」が何なのかという前提知識がないとちょっとわかりにくい部分もあるだろうが、これは本当にそのとおりだなあと思うし、実際自分も運営サイトでは切り分ける部分だ。
ただ自分はあまり意識してやっていたわけではないので、こうして文章化されたものを読むと認識新たになる。そして、きちんと切り分けて認識できるようになると、今度は「戦略的」に動けるようになるものだ。ベテランにも本書を勧めるのはそうした理由からだ。
a-kiさんのロジカルな展開の文章は、自分には書けない類のもので、正直ちょっとジェラシーだったりするんだけど(笑)、かといって難しさは感じない。そのひとつの理由は「例え」が絶妙だからだろう。
例えるなら、ブログ型は「木を植えていたらいつの間にか森になりました」のイメージ、完結型は「森を作るために木を植える」のイメージです。
そしてちゃんとその木と森のイメージ図まで挿入している。
やはり同じ年月を比較的似た周辺環境の中サイト運営していると、同じ結論に行き付くんだなと共感させられるところも多い。
ユーザが情報サイトに望んでいるのは、5千ページ1万ページといった大量の情報があることではありません。ましては1ページに5千文字1万文字といった長文を詰め込んだ記事を好んでいるというわけではないのです。 情報が多いことはたしかにメリットですが、それがきちんと整理され「必要な情報にいかに速くたどり着けるか」が本当に望まれていることなのです。
網羅性が重要であること、データ&ツール的コンテンツとブログ型コンテンツを組み合わせることの優位性なども解説がされている。
「a-kiさんすごいなあ!」と最も関心するのが実はこの部分で、切り分けや分析が鋭く、かつそれぞれに名前をつけ丁寧にわかりやすく説明している。何がうれしいって、「3つの形態を組み合わせた理想形」として紹介してくれているのが、東京ビアガーデン情報館なことだ。
- 「東京」「ビアガーデン」の範囲設定ですべて網羅
- 完結型(カタログ型)コンテンツとしてのビアガーデン各店舗情報部分
- 「ビアガーデン関連ニュース」「訪問レポート」は継続更新するブログ型
- 運営者自身が店舗を訪れ一次情報を発信することがユーザの信頼獲得に寄与
これ以上書くとネタバレになってしまうし、中途半端な切り出しはかえって誤解を招きかねないので、ぜひ冒頭から遠しで読んでみてほしい。長くなるのでここでは触れなかったが「オーソリティーサイトを目指す」部分も非常に濃い内容になっている。
Kindle本なので、パソコンはもちろんスマホでも読める。
お値段は390円で、コンビニで買う金麦缶(350ml)2本分。
実際は10本分以上の価値あると思う。まあ缶ビール比較もどうかと思うが。
情報サイトでオーソリティーを目指そう!: 10年先も生き残る安定志向のサイト構築論(Kindle版/390円)