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天才芸術家たちの意外な顔にびっくり!斬新な切り口の歴史本「ルネサンスの世渡り術」

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ルネッサンス期といえば、ミケランジェロ、ラファエロ、レオナルド・ダ・ヴィンチなど、誰もが知っている天才芸術家たちが多数誕生し活躍した時代。地中海貿易で繁栄したイタリアの都市国家で、彼らは王侯貴族のパトロンを獲得し、教会や国家の威信をかけた大きなプロジェクトを受託し、工房を作って次々と作品を生み出していった。

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そんなルネサンス期の芸術家たちを「世渡り術」というユニークなテーマで切って紹介するこの本。

「フリーランスの和田さんにもきっと役立つだろう」といただいた。

Amazonを見ると、現時点で「ルネサンスの美術史」ベストセラー1位。「西洋美術史」でも5位につけている。

正直、タイトルからは全く内容イメージがわかなかったのだが、

読み始めたら面白い!

まずは目次。
歴史本はあまり読まないという人でも、ちょっと興味かきたてられるんじゃないだろうか。

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第1話 公共事業コンペはニーズが命 ギベルティ×ブルネレスキの場合
第2話 自己プロデュースを極める ティツィアーノの場合
第3話 有利な舞台は自分でつくる ティントレット×ヴェロネーゼの場合
第4話 独りよがりは失敗のもと ウッチェロの場合
第5話 著作権侵害からの炎上商法 ライモンディ×デューラーの場合
第6話 万能人の自己PR レオナルド・ダ・ヴィンチの場合
第7話 根回しは相手を考えて ミケランジェロ《ダヴィデ》の場合
第8話 損失が損失を生むスパイラル メムリンク《最後の審判》の場合
第9話 モンスター注文主の対処法 イザベッラ・デステ×ベッリーニの場合
第10話 敵の敵を味方につける ラファエッロ×ミケランジェロ×セバスティアーノの場合
第11話 捨てる神あれば拾う神あり チェッリーニの場合
第12話 お祭りには便乗すべし コジモ・デ・メディチの場合

めり先生のちょい足しコラム

◎伝記と著者の都合
◎豆腐メンタルの系譜
◎「工房作」の実態
◎音楽家レオナルドのことば遊び
◎ルネサンスの匿名掲示板
◎イザベッラのコレクター魂
◎ヴァザーリの被害者


内容ネタバレになってしまうので詳しく書くのは控えるが、たとえば第3話の「有利な舞台は自分でつくる」は、勝ち目が薄い不利なコンペを、「制作スピードの速さ」を武器に型破りな方法で乗り切ってしまった画家ヤコポ・ティントレットのエピソードだ。

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各章の扉裏は、1ページの漫画イントロダクション。
これによって名前を知らなかった画家であっても、入り込みやすくなる。

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贅沢なことに全頁フルカラー。

イントロダクション以外にも、登場人物の作風だったり主張だったり人物相関図だったりがイラストで描かれており、理解もしやすくなっている。また作品や関連する建物の写真などもふんだんに盛り込まれている。

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各章の間には「ちょい足しコラム」として、面白エピソードや豆知識的な読み物も。

時代に関係なく、自らの腕一本で仕事を取っていくには、スキル・才能だけでなく、どう売り込むか、いかにライバルを押しのけ踏み越え、より大きな名誉につながる仕事を獲得するか、戦略を立てて「世渡り」をしてゆく必要がある。

ルネサンス時代の天才芸術家たちですらそうだったんだなと思うと、なんだか急速に親しみが湧いてくるというもの。

西洋史・西洋美術好きの人はもちろんのこと、そうでない人にとっても面白く読める一冊だと思う。

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