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なぜ、キリン・ザ・ゴールドは求められるのか?

写真↑これは本のタイトルです。
自分はマーケティング語れる人間ではないので。

そんなマーケティング初心者&勉強中の自分にも、非常に興味深く読めた本がこれ。MarkeZineの対談読んで買おうと思っていたら、先に献本でいただくことができた。ラッキー♪

●編著者、喜山 荘一氏のブログ「生の声マーケティング」はこちら

4903649016なぜ、キリン・ザ・ゴールドは求められるのか?
喜山 荘一

ドゥ・ハウス 2007-12-15
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マーケティングリサーチ企業として有名なドゥ・ハウスの喜山 荘一氏が編著者。ドゥ・ハウスは、もし自分が大学生でもう一度就職活動できるなら、絶対に受けてみたい企業だ。

この本、


「かなり異色なマーケティング本」


だと思う。
編著者側もきっとそこを認識しているのだろう。

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目次を開くと、最初の第一章はなんとイキナリ「この本の読み方・使い方」。
読み方が5ページ、使い方が3ページにわたって解説されている。

この本は、各章の「まとめ」を読むだけで、消費者からみたキリン・ザ・ゴールドの全体像をつかむことができる。しかし、できれば、消費者の声のデータを味わうように読むことをお勧めしたい。全部を読み通したとしても、多くても二日もあれば読み通すことができるはずだ。

(「なぜ、キリン・ザ・ゴールドは求められるのか?(編著:喜山 荘一)」P20より)

この本の重要なキーワードは「生の声」。
表紙にもしっかり書かれている。

決して「キリン・ザ・ゴールド」という特定商品の解説本ではなく、またキリンの製品戦略を分析した本でもない。

消費者の「生の声」データの中から「なぜ?」を見つけるプロセスを、読み手それぞれが、頭を実際に働かせて辿ってみる経験ができる、そんな本かな。うーん、うまく説明するの難しい。

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「なぜ解き1」という左上のマークから考えるに、どうやらシリーズ化される一連の本の最初の一冊目らしい。

本の中身に戻ろう。
どう異色なのかというと、本の中身のかなりの割合を「消費者の生の声」が占めている。

そこから、

「なぜ、キリン・ザ・ゴールドは売れるのか?」
「誰が、キリン・ザ・ゴールドを飲んでいるのか?」
「どんなシーンで、キリン・ザ・ゴールドを飲んでいるのか?」
「何を、キリン・ザ・ゴールドに求めているのか?」

という、「売れる理由」「飲用者像」「飲むシーン」「消費者の欲求」を読み取ってゆくというもので、各章の前半は、それら生の声を編集者が読み取り、たてた仮説が「まとめ」として掲載されている。後半に、実際に一般の消費者が、キリン・ザ・ゴールドについて語った言葉が、分類されて並べられている。

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この本、頭から順番にページをめくって読んでいっても単純に面白かったりするが、きっとマーケター・リサーチャーを目指す人が、自身のスキルアップのために読むなら、順序を変えてみるのがいいかもしれない。

つまり、先に「消費者の生の声」を読む。
そして「誰が、キリン・ザ・ゴールドを飲んでいるのか?」という設問に対する自分なりの解・仮説を、いくつか項目やキーワードをたてて、まとめてみる。

様々な属性の消費者の様々な声が並んでいるので、簡単ではないし、本の冒頭にもかかれているように仮説もひとつではないだろう。

その後で、各章前半の「まとめ」部分に戻ってきて、編著者の仮説を読む。

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自分のたてた仮説が正しかったとか間違っていたとか、そういうことではなく、「ああ、消費者の生の声のこいう部分に着目して、こういう仮説をたてるのか」「確かにこの人とこの人が語っていた共通の事実はこれだ」など、自分が実際に頭を動かした後だと、感じることもたくさんある。

新入社員の頃、会社の研修所に泊まりこんで、ロールプレイングとか融資業務シミュレーションみたいなことをやったことがある(3年間だけ銀行員やってドロップアウトしてます/架空の会社の財務データ分析とか社長ヒアリングとか通して、チームごとに新規融資の妥当性を検討するとかいうやつ)。

その時も、後で講師からの解説があると、「おおっ、確かにそうだ~!」「それは見落としていた」ということが一杯あって、経験と実力をつけるということがどういうことなのか、ほんのちょっとわかった気がした。

この本は、使い方次第で


「一人マーケティングスキルアップ研修」


のためのテキストになる気がする。


+++


自分自身も、顧客向けにアンケートを実施し、それをとりまとめて社内や上司に報告するといったことをしたことがある。「はい・いいえ」「5段階評価」などは表とグラフにして、自由記述欄の中から、数の多かったものや、自社の調査目的に合致していそうなものをピックアップして並べ、項目ごとに自分のコメントをつけ、さらにアンケート全体について「どうだったのか」ということを、ポイント5点くらいに絞ってまとめたりする。

すごく頭を使う作業だ。

特に自由記述欄は、そのまま全部「社内の関係者必読!」として強引にまわしたい程の価値があるのだが、それではきっと誰も読んでくれないし、忙しい上司などは、グラフだけさらっと見て「へ~」「ほ~」とか納得して終わらせたがったりもしている。だからアンケートを無駄にしないためにも、担当者がしっかりポイントを整理して、まとめなくてはいけない。

個人事業者になってからは、ある新しい市場についての調査業務を請け負ったことがある。その時には、一般ユーザを対象に実施したアンケート結果を元に、長い報告書をまとめなくてはいけなくなった。

これも大変だったよなあ。

・・・と、なんだか完全にぼやき節になってしまったが、
どんな部署の人でも、きっといろいろな場面で、「顧客の生の声」データに接する機会はあるだろう。

このシリーズの本を何冊か読んでいったら、
そんな場面での「読み取り力」「まとめ力」みたいなものが向上する気がする。

冒頭に書かれていた「生の声の読み方、五箇条」も非常に勉強になる。

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1.生の声は言い換えない


たとえとしてあげているのはドラム式洗濯機についての消費者の声。
商品のよさを「静かです」と訴求した企業側に対し、消費者は「お客さんに気兼ねなく洗濯できる」と評価したとする。その消費者の声を「静かなことが評価されている」と言い換えずに、「お客さんに気兼ねなく洗濯できる」とそのまま受け取ることが大切だと、ここでは書いている。

ああ、こういう“言い換え”って、ついやっちゃっているかも!


2.声の中身を分類しよう
3.事実を読もう。背景を推し量ろう
4.不評価の声だけでなく、評価の声も生かそう
5.ひとつの声は、数ではなく、「深さ」と「兆し」を見よう

五箇条の残り部分も、真剣に読んでしまった。
ここまで中身書いちゃうと、たぶん著者に怒られると思うので、興味ある人は実物を読んでほしい。

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個人でアフィリエイトをしている人にとっても、
この本は面白い読み方ができると思う。

「○○○についての情報サイトを作ろう」と思うと、そこ止まりになってしまいがちだ。自分もそう。

でも本当に人気サイトを目指すなら、その情報について知りたいと思っている人がどんな人なのか、そしていつ、どんな理由で、その情報を求めているのか、あるい特定の商品についての紹介サイトであれば、それがどういったシーンで使われるものなのかなど、考えないといけない要素はたくさんある。

私達は、もちろんお金をかけてアンケートを実施するなんて事はできない。
でも今は、ネットがありブログがある。

検索すれば、作ろうとしているテーマに関する様々な人の意見を集められるはずだ。

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それらを読んだ上で、サイトのコンセプトをどうすればいいのかとか、どんなニーズの人を想定してカテゴリを設定していったらいいのかなど、ひとつひとつ考えていくことができる。


「わーい、たくさんの人が興味持ってるからきっと成功するぞ~」


なんて踊っていると、大コケする。
(↑体験者は語る/失敗経験もいろいろあります)

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ということで、シリーズ化に期待しつつ、
今晩も、ビール片手に、この本の最終章を読もうかなと思っている。

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