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銀座のレトロな奥野ビルで「中銀カプセル」テーマの企画に参加

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銀座の奥野ビルの306号室で開催されたアート展示&トークショーイベント「BC-25(カプセル)サロン」に参加するため日帰り上京した。
詳細は下記を見ていただけたらと思うのだが、何重にも面白さがあった。

メタボリズムのシンボル「中銀カプセルタワービル」の元住民のクリエイターによる作品を展示します。物体としての建築の姿は消えてしまいましたが、BC-25(カプセル)から受けたインスピレーションや空間での試みは、アーティスト中に消えることなく刻み込まれています。カプセル暮らしから生まれた作品には、どのようなメッセージが込められているのでしょうか?

参加アーティスト名・作品等
前田とまき氏・日曜アーティスト(冊子、ミニ版画他)   
田仲森太郎氏・デザイナー(カプセル3Dモデル等)

●「BC-25(カプセル)サロン」 - 銀座奥野ビル306号室プロジェクト

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まずは会場となった「奥野ビル」。
1932年竣工の元・銀座アパートで、私は2009年に参加した街歩きイベントで初めて存在自体を知った場所なんだけど、本当に貴重な建築物。

各居室は約3.5坪のワンルームだった。当初の名称は「銀座アパートメント」。エレベーターはデパートや銀行などごく一部の建物にしかなかった時代に、民間の住居としては日本で初めて設置し、電話線も各部屋に引いていた。風呂とトイレは共同で、トイレは各フロアに、大浴場は地下につくった。

高級住宅として誕生したころは目の前に三十間堀川(さんじっけんほりかわ)の柳並木があり、夕暮れ時になるとビルの前に縁台を出して住人が談笑しながら夕涼みをしたという。第二次世界大戦の空襲でも焼失することなく、戦後は徐々に事務所としての需要が高まっていった。

●築85年のアートな銀座「奥野ビル」から 新たなデザイン&アートを発信 - 2019年記事

今は既に築90年を超えている。
同じくらい古い建物は他にもあると思うが、大規模なリノベーションも行わず各居室の間取りもそのまま残っているところは少ないんじゃないだろうか。

現在はギャラリーなどとして使われているところが多い。

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その中の一室、306号室が今回のイベント会場なのだが、ここがまた面白い。

306号室の元の住人は、須田ヨシさん。1909年に秋田県角館で生まれ、美容師として激動の昭和を生き抜いた女性だ。おしゃれでもてて、ビールが好きだったという。奥野ビルの一室を美容室として、須田さんは馴染み客を中心にカットしていた。70年代後半に廃業し、美容室を改装して住居にしたという。

●銀座で昭和の記憶をとどめる奥野ビルと306号室を守る人々 | nippon.com

この306号室を保存するためのプロジェクトの公式サイトがこちら。

●銀座奥野ビル306号室プロジェクト - GINZA OKUNO BUILDING ROOM 306 PROJECT

今週7月6日は13時から19時まで入場料無料の公開日になっているので、のぞいてみたい方は是非この日に。

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作品を展示しているアーティストのひとり、前田とまきさんはブロガーつながりでここ10年程いろいろご一緒させてもらったりしている方。Facebook越しにも日々の活動を覗き見しているんだけど・・・

本当にスゴイ!

富めるものも貧しいものも、どの世界で生きていてもあらゆる人に平等に与えられているものは「時間」だなんていうけど、とまきさんの周囲を流れている時間が自分と同じとは到底思えない。そのくらい、会社員として働きながらそれ以外の活動もものすごい密度の濃さなのだ。

「今月こんなことをしました」発表を毎月仲間内でやっており、そこでもご一緒させてもらっているが、一か月に取り組んだことがおそらく自分や他の人の一年よりはるかに多いと思うし、場合によっちゃ数年分。

2009年に、今回のテーマでもある「中銀カプセルタワービル」に一か月間居住するという体験をしたとまきさん。その際、中銀カプセルでやってみたいことをリストアップし、そのうちの大半を実際にやってのけた報告が、この日夕方18時からのアーティストトークだった。

発表された内容は一部Noteでも記事になっているので、ぜひこちらを見て欲しい。

●中銀カプセルタワービルで作ったもの|前田 とまき (TOMAKI)

まずこの記事。
1か月間の滞在にあたって「中銀カプセルタワービルでしたい100のこと」をリストアップしたもの。さらに実現したものを塗り分けた一覧も。

普通に考えたら、会社に通いながらの一か月間でできることなんて、週末に1~2個ずつ実現したってせいぜい6個程度だと思うんだが、まさにけた違いだ。
実際自分も街歩きツアーに参加させてもらい、さらに作ったスタンプやステッカー、名刺なども見せてもらった。

●銀座をぶらぶら建築散歩|前田 とまき (TOMAKI)

私は新型コロナ禍で、マスクに押す「花粉症なんです」ゴムスタンプを作って売ったが、そのきっかけになったのはとまきさんのハンコ作り。都内にレーザーカット加工できる機械を手軽に借りられる工房があることもこれで初めて知った。

●中銀カプセルでハンコづくり|前田 とまき (TOMAKI)

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Facebookとかブログ記事では見ていた、ドイツのクリエイターたちが開発した卓上プレス機とそれによってつくられた作品も、今回初めて生で見せてもらった。

中銀カプセルタワービルの版画作品|前田 とまき (TOMAKI)

この卓上プレス機、部分的に壊れてもパーツの設計図があり、3Dプリンタを使って作れるのだという。そっか、3Dプリンタがあるとそれが可能になるのか!ちょっと目ウロコ。

もう一人のアーティストの方が展示していたのは、中銀カプセルの室内の精緻な立体模型。30分の一で、コンパクトに詰め込まれた家具や窓枠まで正確に再現されていた。

「自分だけのコンパクトで無駄のない空間」

というのに憧れがある。
奥野ビルに来る前に、せっかく上京するならと東京ビッグサイトで開催されていたキャンピングカーショーに立ち寄って、バンベースの居住空間にワクワクしていたので、なおさら中銀カプセルの魅力に関するお話が染みた。

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今はもうなくなってしまった中銀カプセルへの思いからこれらの作品が生まれ、仲間同士が集まって話をし、いろいろな体験をしていく。そういうのは本当に素敵だなと思うし、「たった一か月だけだけど中銀カプセルに住んだおかげで、さまざまな体験へと広がった」というとまき氏の話もとても興味深かった。

興味ある方はぜひこちらを読んでみてほしい。

●中銀カプセルタワービルのこと|前田 とまき (TOMAKI)|note

自分も今月どこかで時間を作って、やってみたいプロジェクトや企画をとにかく書き出してみよう。
そして実現に向けて動き出したい。

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