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大槌町に新しいボランティア無料宿泊所「きらりベース」が誕生!(5)

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GW頭にピークを迎えた桜も散り、大槌町に今咲き誇っているのは菜の花。あちこちに塊になって咲いている他、地元の方やボランティア達が受けた菜の花が河川敷を黄色く染めていました。

●きらりベース公式サイト

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さて、せっかく「きらりベース」が誕生し、大槌町の真ん中に滞在できるのだから、ボランティア活動だけして帰ってゆくのではなく、ここでしかできない他の体験もして、充実した時間を過ごしてほしい。そして大槌町の魅力にも触れてほしい──。

そんな思いを、「きらりベース」プロジェクトの中心メンバー、高橋さん・中村さんから伺いました。

例えばこれ。

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到着2日目の朝、中村さんガイドに開催されたミニツアー。
参加したのは高橋さん&同室の女性2人と自分の計4名。

「うわっ、ほんとだ!」
「すごい!」

と驚きながら全員で見つめているものが何だかわかるでしょうか?

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津波で流されて家の土台だけが残っているところなのですが、その敷地内の一角から、こんこんと水が湧いているのです。

中村さんから前夜に話を聞いて初めて知ったのですが、大槌町では「湧水」が多くの一般家庭で利用されていたそうなのです。

深く掘るときれいな地下水が豊富に湧き出してくる土地だったため、敷地内に石やコンクリート造りの仕切り付きの井戸舟を設置し、その水を使って野菜を洗ったりしていたんだとか。

井戸のように組み上げるのではなく、水圧で自然と湧き出してくるこうした湧水を「自噴井」というということも今回初めて知りました。

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家も流され、住む人もいなくなった場所なのに、きれいな水だけがコポコポと音を立てて湧き続ける風景。なんとも不思議な感じです。

確かによく見ると、湧水のまわりはどこも、四角い囲いがありました。

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こんなのも残っていました。
パイプが通してあり、2つに仕切られたコンクリートの井戸舟。

野菜を洗う水、食器を洗う水などと分けられていたそうです。

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遠野からバスで往復してボランティア活動に来ていた時、車窓風景見ながら、「いつも水が溜まってる場所があるなあ」と思っていたのですが、その一部は湧水だったのかもしれません。

大槌町に滞在していなければ、湧水のことも知らなかったと思いますし、朝早くにみんなで見に来ることもできなかったでしょう。

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水はとっても冷たく清らか。

私は在りし日の大槌町の姿は全く知らず、見ているのは瓦礫撤去後の更地のような風景だけです。

でもここ、地下水がこんこんと湧く水の町だったんですね。夕方には湧水で野菜を洗う昔ながらの風景が見られたのでしょうか。これらの水が流れ込む街中の水路には春先、おたまじゃくしが泳いでいたのかもしれません。

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中村さんによると、先月「湧水ツアー」も開催されたとのこと。
その時のちらしも見せてもらいました。

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類い希な豊かな湧水に恵まれた大槌町。 瓦礫が撤去され、何もかもなくなった街中では、今もなお多数の自噴井がコンコンと湧き出しています。そんな自噴井(じふんせい)がコンコンと湧き出しています。そんな自噴井を探し、触れ、感じるためのツアーを企画いたしました。 自噴井を用いた野立も行います。

確かにこれ、すごく大きな「大槌の魅力」。

今、破壊された大槌町をどう再建してゆくかをめぐり熱い議論が行われている真っ最中だそうなんだけど、そんな中で「大槌町なら」ではの湧水に注目している地元の人達もいるそう。

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いつの日かはわからないけど、またこの町で、
生活の中に湧水がある風景を見てみたいですね。

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そしてもうひとつ。
大槌町に滞在するなら必ず行って、そこからの風景を眺めておきたい場所。

ここも、きらりベースの中村さんに車で連れて行ってもらいました。

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大槌城址にある公園です。
大槌町の背後にそびえる割と高い山ですが、車であがることができます。

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本丸跡のここは、標高140m。

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本丸跡からちょっと下がった場所にある二の丸跡に行くと・・・

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こんな感じ。
そしてここからの眺めは絶句ものです。

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何もなくなってしまった大槌町の市街地の全容が見えます。

さらにその先の赤浜地区、海を挟んだ対岸は箱崎半島で、美しい砂浜で知られた白浜が。どちらも瓦礫撤去・清掃作業で訪れたことがあります。

入り組んだリアス式海岸の地形もよくわかります。

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まるで静かな湖のようにも見えるこの海が、全てをなぎ倒す勢いで町を飲み込んだんだなあと。

右手の水門があるところが小槌川、左側の川幅広いほうが大槌川。
大槌川の左手には大槌港があり、周囲には冷凍工場や加工工場がいくつも建っていました。

東京大学海洋研究所があったのはさらにその先です。

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山頂近くには、何箇所か木が焼け焦げた跡がありました。

「いくらなんでもここまでは火来てないよね」

と話していましたが、後で地元の人にこの話をしたら、街中が火で包まれた時、山にも火がどんどんと飛んできて燃え広がったので、恐らくその時のものだろうと。

山の中腹にある公民館に避難しても、麓の至る所から爆発音が響き、街中に広がった火がどんどん迫ってきて、まさに生き地獄だったと。

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わずか一年前、生き残ったこの町の人達が目にした風景や体験は、私たちの想像をはるかに超えるものだったということが、直接話を伺うととてもよくわかります。

正直ちょっと聞いたくらいでは、
まったく理解できていないレベルだと思います。

でも自然災害は今後も必ずあります。
この街の今の姿を実際に目で見て、体験を聞かせてもらうのは、とても大事なこと。

今回お会いして話を聞いた方も、「私たちは伝えなくてはいけないと思う」とおっしゃっていました。

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残念ながら私が到着する前でしたが、きらりベースの音楽室を使って、地元の方がその体験談を集まったボランティアに語るという、語り部イベントも開催されたそうです。

今後もきっと、きらりベースではそうしたイベントが行われていくと思いますし、他にも地元の方から話を聞く機会はたくさんあります。

私は、ぎっくり腰でお世話になったAMDA健康サポートセンターの先生から、治療中にたくさん貴重なお話を伺いました。

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今回、湧水ツアーそして大槌城址にも連れて行ってくれた、きらりベースの中村さん。

個人的には、ぎっくり腰で完全にグロッキー状態だった時に大変お世話になりました。いろいろ気を配っていただき、鍼灸治療受けられる場所を探して連れて行ってくれ、おかげで無事復活し帰宅することができました。何とお礼を言っていいのやら。

本当にありがとうございました!

いつまでかは未定だそうですが、きっとしばらくは、きらりベースプロジェクトの中心メンバーとして現地に滞在し、きらりベースの整備や、外から訪れた人に大槌町をもっと知ってもらうための企画などにも関わっていくことと思います。

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ちょっと長くなりましたが、大槌町に新しくできたボランティアのための無料宿泊施設「きらりベース」滞在レポートは以上です。

本稼働は5月11日予定とのこと。

これまで遠野まごころネットなどを利用して大槌町に通っていた方はもちろん、まだ津波被災地の現状を直接見たことないという方にも、ぜひ訪れてほしい場所です。

テレビで見るのと現地に立つのでは全く違います。

心痛む風景が広がってはいますが、同時に「復興に向けての動きや思い」の力強さも感じることができます。初めて現地に滞在したことで、今回特にそれを強く感じました。

ぎっくり腰でダウンしてしまったリベンジも兼ね、
また必ずもう一度訪れようと思います。

きらりベーススタッフ&お世話になった方々に深く感謝。

心から応援してます!!!

●きらりベース公式サイト

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