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北京の日本大使館で講演会に参加~鳥インフルエンザ対策どうする?

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今中国は、3月に発覚した鳥インフルエンザ(H7N9型)封じ込めの真っ最中。日本ではいろいろ報道されているが、実際こっちに住んでいると、テレビやインターネット通じての情報公開はかなり徹底しているし、「そ、そこまでやるんだ・・・」とちょっと過剰な気すらする対策の様子もテレビで見ているので(大学構内のハト駆除とか)、それほど不安はない。

実際にヒトヒト感染でパンデミックが発生したら、日本にいても中国にいても一緒だしね。

●外務省: 「中国における鳥インフルエンザA(H7N9)に関する講演相談会」への専門医派遣

そんな中、日本大使館で鳥インフルエンザに関する講演相談会があると知った。
講師は東北大学大学院医学研究科の賀来満夫教授。

こんな機会もなかなかないので、大学生の女の子とと2人で参加してきた。

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ちょっと遅れて到着した時には国内での感染の現状についての説明が行われていた。

発生当初は上海・杭州に発症者が集中していたが、その後、鶏など扱う市場を閉鎖したり感染の可能性がある人を早期発見して隔離・入院治療させる対応で、新たな発症も死者の数も減ってきている。

●看看新聞網─N7N9来襲 多地出現人感染禽流感病例

症例や関連ニュースなどはここで見ることができる。

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潜伏期間は6日程度。これは一般的なインフルエンザと比べると数日長く、人の体内で一定の数までウイルスが増殖するのにちょっと時間がかかるものな可能性があるとのこと。

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・・・とは言っても、ものすごい勢いでウイルス遺伝子を変異させてしまうのがインフルエンザの怖いところ。

ヒト─ヒト感染も、接触度合の高かった家族内で限定的に起こっている可能性は否定できないとのこと。ただもし本当に容易にヒト─ヒト感染するウイルスであれば、誰も免疫を持っていない中でこんな数の発症者で収まっているはずがないので、あったとしても限定的なものだろうと。

「ヒト分離ウイルス4株の遺伝子解析ではヒト上気道に感染しやすく、また増殖しやすいように変化している可能性がある」ということなので、まだ油断はできない。

他にもたくさん詳しい話があったが、全部書くとものすごい量になってしまうのではしょる。興味ある人は国立感染症研究所のサイトに掲載されている情報などを見てほしい。

●インフルエンザA(H7N9)~新着情報~
●鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスによる感染事例に関するリスクアセスメントと対応 (2013年5月2日現在)

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そしてここからが対策。

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感染予防のポイントは3つ。

  • 安静・休養・栄養補給
  • 咳エチケット
  • 手洗いの大切さ

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前半の説明でも何度か言われていたことだけど、重要なのは「全員が発症するわけではない」ということ。これは過去のスペイン風邪でもそうだった。

まずは自分自身の免疫力を低下させないよう、日常生活に留意することが大事。

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そして有効性の有無が議論されることもあるが、「うがい」によって口腔内を清潔に保つことは重要。なぜ寒いと風邪をひきやすくなるのかという説明もとてもわかりやすかった。

冬場に風邪をひくことが多くなりますが、これは長時間冷気を吸い込むと鼻や喉の粘膜の血管が収縮して、粘膜面にある線毛の動きを悪くしてウイルスや細菌が住みつきやすくしてしまうからです。

・・・そういうメカニズムだったんだ!

これからは寒くて「風邪ひきそう」と思った時、自分の鼻と喉の中の線毛がぴたっと固まって動かなくなってしまっている図をイメージして、早くあったかい恰好をしたり室内に飛び込むといった行動に移せそうだ。

知識って大切。

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「禁煙も重要」という話が出た時には、後ろの方でうっという小さなうめき声が聞こえた気がする。

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ちなみに参加者のほとんどは北京駐在の人達。
こんなたくさんのスーツネクタイ姿を見るのは、こっちに来て初めて。

企業は1団体1人まで参加だったため、恐らく会社に戻った後同僚に報告をしないといけない人や対策担当の人も多かったのだろう。皆真剣にメモを取り、写真をたくさん撮っていた。

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感染経路についての説明も。
よく、空気感染と飛沫感染をごっちゃにして考えている人もいるが、実際には別物。

インフルエンザウイルスは紫外線によっても死滅するので、仮にヒトヒト感染が起こっても、大気中にインフルエンザウイルスが蔓延するということではない。ただし密閉空間は危険。

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説明にかなりの時間を費やしたのはやはり「マスク」。
仮にマスクをしていない人が咳をすると、ウイルスは手の内側にべったり張り付く。この手で扉や手すりなど触れば、そこから他の人に感染させてしまう可能性も高くなる。

また仮にマスクがない場合、ハンカチで口を覆って咳をすればハンカチにウイルスが付着し、そのままポケットやハンドバックにしまわれることに。

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なので、ティッシュで口を覆って咳をし、そのティッシュはゴミ箱に捨て、かつすぐ手を洗う必要がある。

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マスク着用方法も写真入りで説明。
マスクのゴムをただ単に耳にひっかけた状態では、鼻脇・両脇・あご下に大きな隙間ができてしまい、着用効果が大幅に低減してしまう。

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隙間を作らないよう、鼻の部分はワイヤーをしっかり曲げて肌に密着させ、あご部分をしっかり引き下げて隙間をなくすことで、脇の隙間も同時にふさぐ。

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手洗いの重要性も。
日本にいるときには、鳥インフルエンザ対策の一環でハイタ―もちゃんと備えていた。

この後どうなるかわからないので、消毒剤も買っておこう。

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PM2.5問題も抱えた北京市民としてはちょっと悩ましいところではあるけど、部屋の換気の重要性も。ちなみに私は、鳥インフルエンザ報道を見て、シャープの高機能空気清浄器を買っちゃいました。来中前に小型のも買っているので出費はちょっと痛手だったけどやむを得ないかなと。

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咳による飛沫感染の他、バスの手すりやトイレの扉などで、手を介してウイルス感染してしまうことも。口や鼻の他、目をこすることも危険だ。

すぐ手が洗えない場合に備え、ウェットティッシュなどを持ち歩くことも大切とのこと。
これも消毒効果のあるもの売っているのですぐ買いにいこう。

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最後にこんな話も。
感染症は、社会全体が協力して情報共有して連携して対応してゆくことが何より重要。

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過度に恐れる必要はない。
冷静に警戒をし、できることを確実に行って、連携協力してゆく。

それが最も重要な事との言葉で講演は終わった。

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いやー、本当にわかりやすかった!!!

この先生の講演、もし日本であったらぜひ聞きに行くべきだと思う。
きっと東京など大都市だったら機会あると思うので。

●東北大学大学院 感染制御・検査診断学 教授紹介 賀来 満夫

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その後の質疑応答では、大使館の人による説明も。在留邦人用のタミフルの備蓄もしており、緊急の場合には予防的投与のための提供もありうることなど。

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会場後方には、数社のマスク展示もあった。
イオンはまとまった数なら配達もしてくれるそう。

鳥インフルエンザ関連ではこのブログでも過去何記事か書いていて、今でも「鳥インフルエンザ マスク」と検索してやってくる人が結構いる。こんなサイトもやっているんだけど、まさか北京でマスクの説明を受ける機会があるとは。

●新型インフルエンザ対策マスク試着室
●鳥インフルエンザ対策に「N95マスク」

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先日別の講演会でお会いした北京ログラスの山本さんにも再会。
この会社も北京在住の日本人向けに、インフルエンザウイルスやPM2.5にも対応したリーズナブルなBFE95規格マスクの販売を始めている。

●鳥インフルエンザ マスク PM2.5 対応 専用マスク

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鳥インフルエンザはかなり長い間、「いつパンデミックが起こってもおかしくない」と警戒されてきたもの。強毒性のH5N1型とは違うが、まだどうなるかわからないので油断はできない。

自分も何冊か関連本を読んだが、1918年に発生したスペインかぜがどんなだったか知ると本当に怖くなる。死者の数は数千万人にものぼり、東京でも遺体処理が追いつかなくなるほどだったという。

●スペインかぜ - Wikipedia

今回のH7N9型も、もしヒトヒト感染が始まれば、2009年の豚発の新型インフルエンザ同様、国境はあっという間に越えて全世界に広がってしまう。

今は中国・台湾だけの問題だが、日本でも同様に「備え」は必要だ。
鳥インフルエンザ対策としては、マスクはもちろん、食料備蓄も推奨されている(農林水産省の「新型インフルエンザに備えた家庭用食料品備蓄ガイド/PDF

●備蓄.com

ということで、多くの方にご心配いただいていますが、
北京で元気に暮らしていますのでご安心ください!

[旅]中国生活2013-2014<北京編>の記事一覧