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新型インフルエンザ対策の舵取り

写真つい今まで、コアリズムしながら夕方のTVニュース番組で、舛添大臣の記者会見を見ていた。

新聞だったかネットニュースでだったか、厚生労働省としては、大臣自らリーダーシップとって、がんがん記者会見を開き、国民に強く訴えかけてくれる姿勢を歓迎してるといったようなことを読んだ。確かに今この時期にこの人が大臣なのはよかったなあと。

一方で、幸いなことに強毒性じゃなかったため、あらかじめ定められていた新型インフルエンザ国内発生時各ステップ毎の対策を、どこまで徹底して遂行すべきなのか、舵取りが難しくなっている。

自治体からも「現状に沿った形での行動計画を」という要請が国にあがっているそうな。

●新たな行動計画作成も=大阪知事との会談で厚労相(時事通信) - Yahoo!ニュース

舛添大臣、つか厚生労働省も大変だなあ~。
今の行動計画だってかなりの年月かけて、専門家が集まってシミュレーションもして数値とか練り上げたものだから、明日「はい、新しいやつ。これでよろしく♪」なあんて感じで提示できないだろうしと、素人ながらに思ったり。

一方で、歴史の教訓もある。

写真

上の写真は、今年3月に有楽町の国際フォーラムで開催された「パンデミック・サミット」の時のものなんだけど(自分も半日受講してきました)、新型インフルエンザ対策の話に必ず登場するのが「セントルイス市長の英断ストーリー」。

何かというと、1918年に発生しパンデミックを引き起こした新型インフルエンザ「スペイン風邪」において、アメリカのふたつの市の行政対応の違いによって、どんな結果がもたらされたかという事例だ。

写真
(これは今年1月の東京都の新型インフルエンザ対策イベントの時の写真)

京都府丹後保健所の「新型インフルエンザNEWS」に書かれているので、一部引用させてもらう(もともとは岡田晴恵著の「H5N1型ウイルス襲来 新型インフルエンザから家族を守れ!」よりの引用)。

セントルイス市では、市内に最初の死亡者が出るとすぐに緊急事態宣言を行い、学校や劇場、教会、大型販売店、娯楽施設などを閉鎖し、集会を禁止しました。市中発症率が2.2%時点の早期にこれらの英断を行ったため、一時期に流行が集中せず、医療サービスや社会機能の破綻も起きませんでした。
今でこそ、偉業とされるセントルイス市長の英断も、多くの困難の中での決断でした。このセントルイスの事例は、今も米国の新型インフルエンザ対策の貴重な教訓として生きています。

そりゃ、相当な反発くるだろうなあ~。
今みたいにウイルス学も発達してない時代。どのくらいで終息するなんていう統計データもなかっただろうし。

グラフを見ると、途中からセントルイスのほうが死者数が増えているんだけど、これは、フィラデルフィアでは最初にどかんと感染者と死者がでちゃったので、その後は生き残った人だけの社会になったため。最終的な死亡率も、セントルイス市のほうが少ないんだけど、それ以上に、感染者発生ピークを抑えて、なだらかな波にしたことで、社会インフラが機能麻痺に陥らずにすんだという点が、この事例ではとても重要みたいだ。

フィラデルフィアでは病院もキャパ越え、ごみ収集・治安維持なども滞り、死者の埋葬すら間に合わなくなり、遺体収容所には何段にも遺体が積み重ねられていたのだとか・・・)

ってことで、社会活動が制約される側としては、これからいろいろ不満不平もあがってくるだろうし、メディアもそうしたトレンドに思い切り乗っかって、パッシングなんか起こりそうな気がするけど、結果として多少きびしめすぎるくらいの対策になってもいいので、やはり行政トップの「英断」を支持していきたい(過剰反応で社会パニックになっちゃまずいけど)。

「選挙も近いのにこんなところで国民反発かってメディア攻撃受けるようになったらまずいよ~、まいったなあ・・・」みたいな政治家思惑で行政が困惑・・・という状況でなさそうなのは、日本にとって不幸中の幸いだと思う。

(別に舛ちゃんファンでもなんでもないけど、メディア向け過剰ポーズが鼻につく鳩山さんとかじゃないので、安心して報道見ていられる)

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