呉さん宅で中国式おもてなしを受ける
海南島で相互学習をしていた呉さんの家に招待してもらった。そのまま一泊してシャングリラ行きのバスに乗ればいいと呉さん。
なかなか中国人のお宅にお邪魔する機会はないので非常に嬉しいのだけど、同時にちょっと不安も。呉さんのご両親は私と同じくらいの年齢。いきなり旅行途中の日本人(しかも若い子じゃなくおばさん世代)が家に行き、しかも一泊とか迷惑なんじゃないだろうか・・・。
「全然そんなことありません」
呉さんにそう強く言われて向かったのだが、迷惑がられるどころか、こちらが困惑してしまうほどの厚い中国式おもてなしを受けてしまった。
呉さんの家は、麗江からバスで3時間ほどの永勝県の中心部にある。5年前に引っ越してきたという家は広くて本当にきれい。
主にお母様のセンスとのことだったが、家具や室内装飾もスタイリッシュで洒落ている。
一般的に中国人の家は都市部でも非常に広く、「日本のマンションは100平米切るものが多い」というと驚かれる。
呉さん宅はとりわけ広く、建物の3階から5階までが居住エリアで、1階と2階は板金の会社に賃貸していた。
上の階にあがるともうテーブルに小皿がセットされており、背の高いお父様がにこにこしながら「すぐ食事始まるからな。四川料理の名シェフも来て準備してるんだよ」と。
その外は広いテラス。
夏はここで過ごすことも多いそう。
最上階には、おじい様の遺影が飾られた日当たりのいい部屋があり、あとは洗濯物を干すためのテラスが。見晴らしも抜群だ!
キッチンをのぞくと、お母様の他、近所で四川料理のレストランを経営している夫婦も一緒に皆で料理の支度中だった。
巨大なサーモンの固まりもあり何やらすごいことに・・・!
キッチン&ダイニングがあるフロアにはなんと食糧庫も。
奥に吊るしてあるのが、麗江でも食べた火腿(ハム)だ。
冬の間に作って長期保存するのだという。
食べる分だけ薄くスライスして使っていくそう。
夕食の食卓にも登場し、「美味しい美味しい」といって食べていたら、翌日お土産にスライスしたものをたくさんいただいてしまった。ちょっと塩分強めだが、ビールのつまみにもいい。
そして準備完了!
他にもまだいろいろなお料理が後から後からでてきた。
ちなみに中国と日本の食卓の大きな違いは、箸の置き方。大皿料理を皆でつまむ中国では、箸は縦に置く。
すごかったのがサーモンの刺身。中国では刺身というとサーモン(三文魚)で、スーパーなどでもよく売っているがかなり高額だ。
「日本人は刺身が好きだ」
ということで、なんと鮭一匹買ったんだとか。
一皿食べきるとまた次の一皿という感じで、後から後からでてきた。
わざわざ「寿司」用の醤油に酢、そしてわさびまで買ってくれていた。こちらが申し訳なくなってしまうほど。
そして四川料理レストランの夫婦や他の近所の人、呉さんの同級生なども交えながら、みなでお食事。
まさかここまで聞き取れないとは!?と自分でも驚くほど、雲南弁は全くわからず、途中で何度も呉さんに通訳してもらった。
ご両親も本当に陽気で楽しい方で、「食べろ食べろ」と一体何十回言われたかわからないほどに食事勧められた。
最後はもう、お腹いっぱい過ぎ食べてるふりをしていたような気すらする。
これは確か、マカを漬けたお酒。
クコの実的な何かも。薬膳酒のようなものなのだろうか。
日没前から長時間続いた夕食が終わると、お父様の提案で街に散歩に。既に暗くなっていたが、ここが警察署、ここが中心の広場で・・・など案内してもらった後、一緒に食事した人の身内がやっているという炭焼きの店に。
お客さんがいる店内を突っ切って、居住エリアの中庭に入っていった。屋根もつけてあり、中央に炭火焼できるテーブルが置かれている。
そして二次会スタート。
ここでもまた、友人・親戚などが次々やってきて大勢での宴会に。ビールもどんどん開き大盛り上がりだ。
高校生の男の子もおじさんと熱く議論などして場を沸かせている。中国人は男の人も女の人も、そして子供にいたるまで饒舌で話を盛り上げるのが上手な人が多い。なかなか話には入っていけないけど、聞いているだけで楽しい。
ちなみにこれは最初に焼いていたもの。
全員分はなかったんだけど、一番に皿に入れてくれ「食べろ食べろ」と。
一体なんだ?と思ったら、アヒルの頭部を縦半分に割ったもの。左側はくちばしだ。リアルすぎて思わず絶句。
かなり躊躇したが、「美味しいのでぜひ試しに食べてみて」という呉さんの勧めでちょっと頑張って食べてみた。
美味しいかどうかはよくわからなかったけど、食べれる部分はかなり限られており、肉というより脂のった皮がメインなのだということは理解できた。
最後に記念撮影。
「遠方から来たお客さんを歓迎する」と何回も乾杯もしていただき、呉さん一家だけでなく他の方々にも本当に暖かく迎えてもらった。
これが中国式のおもてなしなんだなあと改めて。
その後、呉さんのお姉さんの部屋に泊めてもらい、翌日早朝、呉さん&呉さんご両親に見送ってもらってシャングリラ行きのバスに乗った。
本当に貴重な体験をさせてもらった。
忘れることのできない一晩だ。