<海南島一周>温泉リゾート「興隆温泉」
2日目、琼海からバスに乗って温泉地「興隆(簡体字─兴隆/読み─シンロン)」に向かった。道のりは一時間半程、料金は24元(約384円)だった。
海南島には火山帯があり、何カ所か有名な温泉地がある。
中でももっともメジャーなのが、海口と三亜の間、万寧市のちょっと南よりにある興隆温泉だ。
興隆温泉の近くに来ると、それまでののどかな田舎道ががらり変化した。両脇にはヤシの木がきれいに植えられ整備された道になった。そして木々の奥には、温泉リゾートと思われる低層の建物群もちらほら。
バスが到着したのは、ホテルやマンションが立ち並ぶ一角。建設中の建物も多い。もともと人が住んでいる街は少し離れた場所にあるのか、このあたりは生活感がない。割と最近開発された新しいエリアなのかもしれない。
不動産投資が過熱化している中国で、ここもその例にもれずリゾートマンション建設がピークを迎えているようだった。
しかし・・・本当にこんなに実需あるとは思えないんだけどなあ。
数年後に廃墟になっていそうでちょっと怖い。
普段は一泊800円程度のユースや、1000円ちょっとの格安ビジネスホテルにしか泊まらない自分だが、今回はちょっとリッチに温泉リゾートを前もって予約しておいた。
といっても、クーポンサイトを利用しているので実際の宿泊費よりかなり安くなっている。
ツインで朝食付き一泊199元(3,184円)。
残念ながら寂しい一人旅だが、2人だったらひとり約1600円とリーズナブルに泊まることができる。
ホテルであると同時に、敷地内には分譲エリアもあるのか、フロントすぐ隣は商談スペースになっていた。
敷地もかなり広い。
北京でも、郊外の温泉地の周辺は、高齢者のセカンドライフ用の高級マンションがたくさん建設されていたが、ここもきっとそういうところなのだろう。
実際には投資目的で購入する人が多そうだけど。
ホテルの部屋は、白と若草色を基調にした明るいテイスト。
プール近くにもまた別のタイプの部屋が並んでいる。
こちらは一階だけで、中もホテル棟の部屋より豪勢っぽい。
さらに川沿いには一戸建て別荘タイプのところもある。
見に行けばよかったなあ。
まずは敷地内を散策。
真ん中に大きな池があり、その向こうが多分分譲マンション。
工事の音も聞こえたので、まだ入居は始まっていないのか、あるいは拡張している最中なのかもしれない。
池の真ん中には島もあり、こんな屋根付きスペースも。
他にも石で造られた椅子やテーブルが点在していて、なかなかいい雰囲気。
海南島は旅行にでるちょっと前から急に涼しくなり、泳げなくはないけど、あえて水の中に飛び込みたい気温ではなくなっていた。
このプール手前の丸いところ。
昼間は全く気付かなかったんだけど、夜温泉に入りに来た時に初めて知った。
中にはたくさんの魚がいて、脚を突っ込むと、脚の裏の硬くなった皮をつついて食べてくれる。そうドクターフィッシュだ。
まさかプールの横にこんなものがあるなんて!
私にとって最も重要なのはやはり温泉。
しかし一目見てショックを受けた。
お湯張ってないじゃん!!!
北京で郊外の温泉に行った時も、工事中で大半の温泉が閉鎖されていた。もしやここも???
しかしどこを見てもお湯がない。
同時に、結構きれいに掃除されていて、「修復中」「長い間使っていない」という状況ではないようだ。
そっか。
ここはきっと毎日お湯を入れ替えているんだ。
中央部分に大きな露天風呂が2つあり、そのまわりには1人もしくは家族か仲間2~3人で入るくらいの大きさの湯船がずらり並んでいる。
間に仕切りがある温泉は、手前と奥にはすだれがかけられていた。このすだれを下せば、プライベート空間ができあがる。
温泉は夕方16時半から23時までなんだけど、温泉エリアのスタッフ女性に聞いたところ「先に食事して18時過ぎにきたほうがいい」とのことだったので、暗くなってからやってきた。
プールにも温泉にもお客さん誰一人おらず貸切状態だったが、美形揃いの女性スタッフが愛想よく迎えてくれた。
「まずはお医者さんに脈をとってもらいます」
「ええっ!?なにそれ?」
見ると、プールサイドに白衣着た年配男性が座っていた。
中医のお医者さんだという。
「どうぞおかけください」
そこだけ何故か日本語で言えるちょっとお茶目な先生で、仕事でストレスを感じているかどうかなどごく簡単な質問を2,3した後、右手首でしばらく脈をとっていた。
その後中国語で所見が伝えられたが、さすがにちょっと難しくほとんど理解できなかった。どこかを冷やしてはいけないと言われたのと、血圧の話をしていたっぽい。
そしてカルテのようなものに何か書込み、女性スタッフに今日入る温泉の種類が告げられた。そっか、温泉療法ということなのか!
私が入ったのは、4つの小さな湯船が並ぶこのエリアのお風呂。布袋の中にたくさんの漢方の薬剤が入ったものが投げ込まれた。
眺めもよく、風も心地よい。
なにより、入れたばかりのお湯という清潔な環境が嬉しい。
他にお客さんもいなかったので、スタッフがしょっちゅうまわってきては温度ちょうどいいかどうか聞いてくれたり、会話相手になってくれたりした。
そのうちに隣に、スタッフとも顔見知りらしい50代くらいの温和な笑顔の男性がやってきた。このホテル特製の漢方のお茶がポットで売られていたようで、スタッフに湯のみ茶わん追加で持ってこさせ、私にもごちそうしてくれた。
「旅行ですか?」
「はい。普段は海口に住んでいます」
その男性は仕事できていて、もう20日以上滞在しているとのこと。
温泉の効能など説明してくれ、スタッフの女性とも、お茶の話などで盛り上がっていた。
湯船にどっぷり浸かったり、階段のところに腰かけて半身浴したりしながら、結局1時間もの間、少しぬるめにした温泉を堪能。
中国では、大学の寮も一般のホテルも基本バスタブはなく湯船につかるということはできないので、二か月以上ぶりに手足伸ばしてお湯に浸かることができ、本当に気持ちよかった。
こうした温泉利用料だけでも結構な料金するので、ホテル代込で199元は本当にお得。
また機会あったら来たい。
ちなみに公式サイトはこれ。
> 続く