電車に乗ってアテネ近郊の街へ
観光客だらけの島めぐりも遺跡めぐりも堪能した。せっかくだから、観光客とかいない、普通の街を見に行こう!
そう思って電車に乗った。
旅行先でよく使うのは、市内バスと地下鉄。
でも意外と、一般の鉄道には乗らなかったりする。
そして乗ってみると、結構楽しかったりする。
日本に観光にくる外国人にも、浅草とか六本木観光が終わったら、東京駅から総武線─成田線に乗って「成田の先の水郷地帯ちばらぎ」あたりに行ってみてもらいたいんだよね。
自分の出身地、小見川駅あたりでふらり降りて街歩きしたら、きっと中学生が遠巻きにじっと眺めて、ちっちゃな声で「ハイ」とかいってくるかも。バックパック背負った外国人旅行者なんて見る機会ないから。
田んぼに囲まれた、庭の広い昔ながらの農家の家とかもあって面白いと思うんだよなあ。
車内はきれいなんだけど、
外の落書きはすごい。
いや、中にもあるか。
出発前のわくわく感が楽しいんだよね、鉄道旅行。
ついでにいうと、どこに行くか決めてなかったりするあたりがさらにわくわく。
(この無計画さゆえ、後半失敗続出で、寿命を2.3cmほど縮めてしまったんだけど)
コメントもらってはじめて気づいたけど、
確かに海外の鉄道って、日本のみたいに「戸袋」がない。
毎回「がしゃん」と大きな音を立てて開くのが大胆で面白い。
港町ピレウスからアテネの中央駅まで行き、そこで乗り換え。
悩んだ末、1時間ちょっとのところにある「リヴァディア」という町に行くことにした。
時刻表もらったら、「リヴァディア」が太文字になっていたので、
ちょっとは大きめの街なのかなってことで。
(千葉県の佐倉あたりをイメージ)
駅では、他のギリシャ人の動きを観察。
どうやら、電車に乗り込む前に、この輪っかのパンとかパイとかを買い込んでいるみたいだ。
妙に陽気なおじさん(ずっとギリシャ語で話しかけられたので、何をいっていたのかは不明)から0.6ユーロで購入した、ゴマ付きのパン。香ばしくておいしかった。
そして、ギリシャ第二の都市テッサロニキ行きの列車に乗り込む。
テッサロニキからは、マケドニア・ブルガリア・トルコなど行きの国際列車も結構でていて、でかい荷物の人も多い。イスラム教徒も結構見かけた。
全席指定だ。
ずっと「どの人がギリシャ人か」わからない中を動き続けていたので、まわりがギリシャ語だけの環境は初めて。人間観察がけっこう楽しい。
年配の人は、男性も女性も十字架のネックレスをしている人が多く、あと数珠のようなものをずっと手でかちゃかちゃいじり続けている人を何人も見かけた。40代以降の男性に多い。ギリシャ人は、敬虔なギリシャ正教信徒が多い国だ。
列車が出発するときには、前に座っていた女性と、隣のボックスシートの年配男性が、そろって十字を切っていた。
アテネは丘と海に囲まれた都市だが、ちょっと走ったらすぐに住宅地も切れてしまった。
3人とも全然他人同士らしいんだけど、
すぐ打ち解けてずっとしゃべりっぱなし。
賑やかで面白い。
車内販売もまわってきた。
紅茶・コーヒーが売れている。
ちっちゃな食堂車もついていた。
少し前、日本の新幹線にあったのと似ている。
それにしてもずっとこんな風景だ。
全人口の約1/3がアテネに住むとガイドブックにあったが、納得。
(アテネ中央駅から30分くらいの風景なので、日本だったら横浜とか千葉とか大宮とかあたり・・・いや、そこまでもいってないくらいの場所だと思う)
ちょっとだけ不安になってきた目的地。
でもきっと、太文字だったから大丈夫だろう(なんちゅう根拠!)
そしてたどり着いた目的地、リヴァディア。
上がギリシャ文字だ。
なかなかチャーミングな駅舎だが、降りたのは自分含め3人だけ。
あの太文字はなんだったんだろう・・・。
・・・と、駅をでてから思う。
駅そのものはまあ、日本だと、自分が子供のころ住んでいた、成田線の「小見川駅」とかの規模だよなと。
ただ駅の周りに何もないのだ。
雰囲気的には、無人駅「水郷駅」みたいな感じ。
(このブログ読んでいる人の中では、はりまくらいにしか通じないネタなんだけど)
両側にただ車の駐車場があるのみで、その向こうはなだらかな赤茶けた丘。
ラヴァディア自体は、ガイドブックの地図にもちゃんとカタカナで町名書かれて乗っていたからある程度の大きさの町だと思うんだけど、鉄道駅は町はずれに作られているようだ。
次の列車も1時間以上こないし、駅にいてもつまらないので、近くを散策することにした。
軽くあたりを一周して帰ってくる予定だったのだが、
歩き出すと戻れなくなる自分。
途中でこんな看板を見つけ、はるか遠くのほうの山のふもとに街っぽいものを見つけ、行ってみることにした。
今思えば、無計画すぎたんだけど、
夜の24時少し前に、無事ホテルの部屋でハイネケンを飲むまでの10時間近く、今回の旅行で、もっとも激しく体力と気力を消耗し、脂汗をかきまくった、なかなかしんどい時間を過ごすことになることを、この時はまだ知らない。
(気力だけで何時間でも歩いてしまう自分の脚力が、時に禍になんだよね・・・)