アテネから1時間ちょい「リバディア(LIVADIA)」という街
せっかくなんで、先日書いた日記の続きを。
そもそもは「電車に乗ってどこかに行こう」「観光地じゃないところを見てみたい」と思ったのがきっかけ。前者は簡単に達成できたんだけど、後者は簡単ではなかった。
駅の両側には、駐車場と、あとコットン工場があるだけで、誰も歩いておらずで。
普通に道ですれ違った人に「ヤサス(こんにちは)」って言ってみようと思っていたのに(電車の中で近くの乗客相手に練習しておいた)、道すら聞けない状態。
でまあ、時刻表見る限り1時間以上はここにいないといけにあので、ちょっとぐるり散歩してみようと。そんな気持ちで歩き始めたんだけど、自分の場合、
「歩きだすと止まらなくなる」
という習性があるのをすっかり忘れていた。
途中で幹線道路にでたらしく、車やトラックが「いったい何キロだしてるんだ?」というようなスピードでびゅんびゅん走り抜けていく中、何も日陰のないジリジリ焼けつく太陽の下を、時々、
「自分はいったいなんでこんなところを歩いているんだ???」
と軽い疑問を抱きながら、ただただストイックに歩いてしまった。
走ってる車から見ても、こんなところをひとりで歩いている人がいるのは変みたいで、時々すごい音でブッブーとクラクションを鳴らして励ましてくれてる?みたいな感じなんだけど、正直、こっちはそのたびに跳ね上がるほどに驚いてさあ大変。かなり車の数はあるので、いきなり襲われる危険性はないものの、やはり歩行者がいないというだけで不安だ。
思い出しても不愉快なんで詳細はぶくけど、途中一回だけ会ったのはセクハラおやじで、いきなり胸つかんできて、これまた仰天ではねのけたりと。
それでも、歩いてしか気づかない風景があるのも確か。
これは、街中にもたくさん設置されている。
通りの途中や街角や、一般の家の塀のところとか。
きっと名前が何かあるんだろうけど、自分は知らない。
小さな教会のような形だったり、装飾された箱のようなものだったりして、中にはろうそくがともされていて、通りがかった子連れの若いお母さんが、ろうそくに火をともしているのもアテネ市内で見かけた。
ここでも、こんな場所なのに、ちゃんと中にはアルコールランプが置かれ、火がともされていた。これを設置した人なのか、毎日ここを車で通る人なのかわからないけど、定期的にちゃんとアルコール追加しているんだろうなあ。
ギリシャ人がこんなにも熱心なキリスト教信徒だったことを自分は知らなかった。
ついでに、ギリシャがこんなにも乾いて赤茶けた大地の国だったことも。
(島や場所によってはかなり緑の多いところもあるようですが、基本的にこんな感じみたい)
そしてようやくたどり着いたリバディアは、
田舎町なんかではなく、山のふもとの傾斜地にある、なかなか大きな規模で新しい建物がいっぱいの街だった。
もしかしたら、新興の住宅地とかなのかも。
フラットが今も大量に建設中で、車も立派なものが結構たくさん止められていたので。
ただ寂しいかな。
午後のシエスタ(昼寝)時間中なもんで、街中にはほとんど人影なく。
あいていたファーストフードぽいところに入って、ギリシャにきて初めて「フラッペ」を頼んでみる。
この飲み物、ミコノスやサントリー二でも飲んでいる人がたくさんいた。
作り方は簡単というか大胆で、シェーカーの中にネスカフェ粉末と水と砂糖とミルクを入れて、電動のシェーカーで一気に泡立てるというもの。そして氷を入れて、水を加えて濃さなどを調整して完成。
かなりどろっとして濃い。
でも粉っぽくはなく、なかなかいける。
そのまま、ほとんど人が歩いていない街をてくてく散策。
お店もたくさんあり、ベランダには洗濯物なども干してあり、お天気もよく、本当に普通のきれいな街なんだけど、なぜか人がほとんど歩いていないという不思議な感覚がなんとも・・・。
そして途中で、細い川を発見。
日本だと、温泉のある街の中を流れている川みたいな感じで、結構勢いがあった。
街全体が山の傾斜地にあるんだけど、
もしかしたら、この街は、山から流れてくるこの細い川沿いに作られた街だったりして?
ガイドブックもなければ事前に調べたりもできなかったので、勝手にいろいろ想像してみる。
家々の間から山が見える。
かなりはげちょびんではあるけど、他よりは緑が多い。
そうはいっても、雨がほとんど降らない夏のギリシャで、どうしてこんな川が流れているのがちょっと不思議な気もしつつ。
それだけに、日本では割と普通のこんな渓流風景が、ここでは貴重なのかもしれない。
川の両脇には、おしゃれなカフェも結構多い。
そこだけは割と人がでていたので(人が活動再開する時間帯と重なったというのもあり)、自分も一軒入ってみた。
飲み物はコーラ。
気分的にはもちろんビールなんだけど、
道がよくわかっていない初めての町など不安要素が残ってる場所では、判断力鈍るので飲まない。
肉を串刺しにしてグリルしたもの(スブラキ)とナスの揚げたもの。
どちらもギリシャ料理でよくでてくるものだが、自分は初めて食べた。
教会も新しそう。
家の屋根はオレンジ色の瓦。
青い屋根もきれいだったけど、この風景もかわいらしい。
そして見るからに新しそうなフラットもたくさん。
街の外側にはまだまだ建築中の建物がいっぱいあった。
辿り着くのに苦労しすぎたので「来てよかった!」とまでは言えないものの、割と満足したので、バスターミナルに向かったところ、到着直前に「アテネ」と書かれたバスが横を通り過ぎていった。
止めることもできたろうに、歩き疲れか、反射神経が働かなかった。
そしてショックなことに、毎時間一本でているバスは、直前にでた18時の次はいきなり20時だった。
街に到着した時に最初にチェックしておいたバスターミナルなのに、時刻表の時間をしっかり見ておかなかったことを深く後悔。やっぱり体が疲れていて、熱にやられていると、頭がちゃんと働かなくなっているみたいだ。反省。
この時のバス乗り遅れが、アテネに戻った後にまた響くことになる。
仕方ないので、近くにあった巨大スーパー散策して時間つぶすことに。
行きの電車の中でガイドブックのギリシャ語ミニ講座をしっかり読んでいたので、どっちが入口でどっちが出口か、今ならわかるぞ♪
欧米のスーパーは、規模が違う。
カートもでかすぎ。
巨大スーパーを二軒はしごして、ミネラルウォーターとはさみ(前髪切る用)、レッドビールを購入して満足。海外旅行で、スーパー散策ははずせないからね。
そして、リヴァディアに沈む夕日を眺めた後、
無事バスに乗車。
・・・したのはいいが、思いのほか時間かかってしまった。
電車で1時間くらいだからなめていたのだが、バスはいくつもの街を通って行くので、2時間近くかかってしまった。
アテネの長距離バスターミナルに到着したのは22時近く。
アテネ中心部からは離れた場所で、
「ここどこ?」
「どのバスに乗れば中心部にあるメトロ駅にたどりつけるの?」
「バス番号はわかったけど、方向どっちに乗ればいいの?」
状態で、これまた夜のアテネで四苦八苦。
(聞こうにも人がいない)
親切な女性のバス運転手さんのおかげで、バスチケットもなしで許してもらい、やっとたどりついたのが・・・
「治安があまりよくない。暗くなってからの街歩きはおすすめできない」
とガイドブックに書かれていたオモニア広場近くのまさにその通り。
長距離バスターミナルで路線バスを捕まえるのに時間かかりすぎたので、時間はすでに23時過ぎ。
いやー、確かに雰囲気悪い!
たむろってる人はいるわ、2人組で職質してる警官はいるわ、
じろっとこちら見ながら近づいてくる素振りの人はいるわ。
じと~っとした汗かきながら足早にメトロの駅に飛び込んだ。
(切符買ってても小銭をせびる男性がいきなり横から声掛けてくるし、ホームにも、変な人がうろうろしていて、駅員さんに追い払われていたし・・・)
無事ホテルに戻って、部屋に入った瞬間の安堵感ってば!
そして買ってきたぬるいビール飲みながら思った。
「むちゃ歩きは怪我の元だ」と。
普段の常識的な判断力が、この日は長歩きの疲れからか、見事に鈍っていた。
気をつけよう。