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南相馬からいわきへ!原発事故にともなう立入制限区域をぐるっと迂回して山道を走る

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2泊お世話になった南相馬の仮設ホテル「ホテル叶や」を後にし、今回のツーリング行程の中でもっとも悩ましかった「迂回ルート」を走りだした。

なぜ憂鬱だったかというと、南相馬拠点にボランティア活動してる人から「あの峠道は結構大変」と言われていたため。今あらためて考えたら、その人は金曜夜に出発して南相馬に向かうことが多いので、そりゃ真夜中や早朝の山道は厳しいよなあと。

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あと、なるべく小回りで行きたいものの、通行止め箇所は半端でなく多い。町中と違い、他の道と交わらない一本道がどこまでも続くので、うっかり間違った道に入ってしまうと引き返してくる他選択肢がなくなる。

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そして距離も長い。
南相馬からいわきまで、Googleマップでざっくり計測すると170キロ程度。
カーブ道も多いので、休憩なども入れながら走ったら110ccのバイクでは結構かかる。

元々の予定では、中間地点の田村市で一泊し、2日かけて走る予定だったのだが、南相馬滞在が一日伸びてしまったので、一気にいわきを目指すことにした。

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少し走るとあっという間に山の中の道になった。
しかし心配していたような細い道はなく、多少路面が悪いところもあったが、大型トラック同士も普通にすれ違えるきれいに整備された道だった(陸前高田から気仙沼にかけての山道に比べたらはるかに安全!)

ただ、車の量は結構多かった。
かなり飛ばしているトラックも多く、カーブ山道では追い越してもらうのも容易ではなかったので、必然的に自分も60キロ超で走り続けることに。しかもアップダウンそこそこあり、途中で停まって休める場所も少なかった。

で、疲れていたんだと思う。
峠を越えて飯舘村の集落に入り、後続の車も減り、少し先に広めの路肩を見つけ停車したところ・・・

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見てわかるだろうか。路肩は斜めにカットされていた。
足をつこうと思ったらつけず、そのままクロスカブごとごろん。

さらに道路と民家の倉庫の間は胸の高さくらいの隙間があり、起こそうにも足場がなく結構苦労してしまった。

「やったあそこで停まれる!」と思い気が緩んだこと、あと停まろうとした瞬間そのすぐ先が除染活動の黒袋の仮置き場になっていたことに気づき、そっちに注意がいってしまったのが原因だ。

幸い、バイクが先に着地したので体はどこもまったく打たず、クロスカブの泥除けを傷つけてしまったことだけがショックだった。気をつけねば。

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ちなみに黒袋はこんな感じ。
下に青いビニールシートを敷いているところも多い。

避難指示解除準備区域などでは、集落の線量を下げるため、地面の土砂や雑草、溜まった枯れ葉などを取り除く除染活動が行われている。そうして取り除いた土砂や草が詰まっているのだが、除染した民家の庭や畑、道沿いなどにたくさん置かれたままになっている。

仮置き場がどこもいっぱいになってしまっていて、回収に時間がかかっているようだ。
中間貯蔵施設の早期建設が求められているが、やっと建設候補地が決まった段階。

●除染で取り除いた土壌等の管理|除染情報サイト:環境省

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除染して線量が下がったとしても住むべきではないという意見もある。
この問題について何が正しいのか私は全くわからないのだが、高齢の人など、「他に住む場所はない、早く自宅に戻って暮らしたい」という人がいる以上、やはり早く、集落から仮置き場をなくせないものかと思ってしまう。

もちろんそのためには、中間貯蔵施設の建設予定地となっている原発により近い帰還困難区域が犠牲になってしまうのだけれども。

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南相馬から川俣町に向かう県道12号沿いには、こんなのぼりがたくさんはためいていた。

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そんな誰も人が歩いていない場所をずっと走ってくると、川俣町では「人里に降りてきた!」感に包まれる。絹の里としての歴史も古いそうで、どこか街道沿いの宿場町風な面影もある街だった。

避難区域から小学校・中学校が移転してきていることもあってか、子どもの数も多い。

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川俣町で左折し、今度は国道349号を南下する。
この道が、山間のたんぼを眺めながらののどかな風景だった。

自分も利根川下流の水田地帯に住んでいるのだが、まっ平らな土地なだけに、山と水田が隣り合っている風景はちょっと新鮮。

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少しひんやりした風が秋を感じさせてくれる。

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道の駅ふくしま東和で休憩をとり、ひたすら南下。

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海沿いに向かって左折したい気持ちは山々だが、途中から通行制限がかかるのでムリ。
最初に計画したルートでいくことにした。

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田村市で左折し、国道288号を太平洋側に向かって東進し始めたあたりから、道路の除染活動にともなう交通整理に頻繁に出会うようになった。

道の両脇に溜まった土を除去し、伸びてしまった雑草を刈り込む。

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おかげでガードレールの下はゴミひとつ落ちていないピカピカ状態だ。

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幹線道路の除染活動を今までやっていないなんてことはないと思うので、おそらく2011年から定期的にやっている作業なのだろう。それこそ道の両脇に、特例で強めの除草剤とかまいて、しばらく草が生えないようにしちゃうとかダメなのかなあ。

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100キロを越えると段々疲労もたまってくるので、国道399号の峠道を走りながら、バイク停められる場所を探しては休憩をとった。

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これは川内村の中心部のちょっと手前で見つけた無人直販コーナー。
美味しそうなトマトやきゅうりがたくさん入っていた。

ちなみにこの日の午前中、安部首相がちょうど川内村に視察で訪れていたらしい。

●首相 川内村を視察「除染などに万全期す」 NHKニュース

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お昼時を腹部が訴え始めたちょうどその時、「いわなの郷」という看板が目に飛び込んできた。もちろん素直に吸い込まれる私。

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いわな定食は、焼きと揚げの二種類があり、私は揚げたいわなを選んだ。
滅多に食べる機会もないが、思っていたより大きく身も厚く、美味しかった。

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蕎麦の生産で有名らしく、白い小さな花がたくさん咲いていた。

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川内村の中心部。
一時は全村避難を強いられていたが、現在は、一部の避難指示解除準備区域をのぞき帰還できる状態になっており、村役場なども戻ってきている。

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もちろん子どもたちを含む村民も戻っている。

大部分の場所は毎時0.1μSv(マイクロシーベルト)台で、この数値は南相馬などとも変わらない低い数値だ。国の試算によれば、毎時0.23μSv以下であれば年間追加被ばく線量は1ミリシーベルト(=1,000マイクロシーベルト)に抑えられる。ただ国道沿いなど部分的に2倍・3倍のところもある。

いわなの郷で食事しながら見ていたニュース番組では、除染活動を更に一層進めて安全に暮らせる環境を作ってほしいと訴える人たちが登場していた。

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時間がなかったので写真だけ撮って通過したが、村役場の少し先には大きな温泉施設「かわうちの湯」も。

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県道36号に入り、くねくね峠道を走っていると、富岡町に入ったところで突如ダムが現れた。滝川ダムだ。

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さらに山の切れ目から東を見ると、高いクレーンが立ち並ぶ工業地帯あるいは復旧作業中の港のような場所も見えてきた(拡大)。海岸沿いまであと少しだ!

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ただ富岡町に入ると、空間線量もあがる。
ここは毎時2.58マイクロシーベルトだった。

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ふと反対側を見ると、除染活動の黒袋が空き地に点々と。
北海道の牧場で見たような風景だ。

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常磐線の少し手前、県道36号と35号がぶつかるところで、右折・南下し、富岡町の市街地を迂回して広野町を目指し、そこから国道6号に戻る計画だったのだが、「もちょい入れるんじゃないかな?」と思ってしまったのが間違いだった。

突き当りに、下水道工事の交通整理をしているおじさんがいて、「国道6号に行きたい」といったら道を教えてくれた。

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確かにまっすぐ行くと最短距離で国道6号に合流する。
原発に一番近い地点からは5キロ以上離れているし、ということは実はバイクOKな区間なんじゃないのか?

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なんて甘い考えで近づいていったら、やっぱりダメだった。

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おまわりさんと一緒に交通整理していた警備員の方に、抜けられる道を教えてもらう。・・・も、運転初心者なものでなかなか覚えられず、この後しばらく、無人の富岡町を無駄に迷走してしまうことになるんだけど。

そういえばあとで写真見て気づいたんだけど、対応してくれたのは新潟県警の人。
帰還困難区域には窃盗団も出没しているということで、とくに国道6号全線開通にともない、警備強化が必要になっているのだろう。本当にご苦労様です(なのにお手間かけてごめんなさい)

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富岡町は、国道6号の歩道橋に掲げられた「富岡は負けん!」の横断幕の印象が非常に強い。今回も国道6号を通りたいと思ったり、迷うことわかりつつ富岡町市街地に入ってきたのは、あの横断幕を見てみたいという気持ちがあったからだ。

●【富岡インサイド】旧警戒区域・福島県富岡町の現状を伝える情報サイト

おそらくバイクでも、横断幕掲げられた月の下交差点まではいけると思うんだけど、今回は時間もなく国道6号を再度北上する時間がなかったので、いつか改めて行ってみたいと思う。

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そして巡回中のパトカーもたくさん走る無人の街を通りぬけ

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どっち行きゃいいんだ!?な案内表示とかに悩みつつ、

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橋壊れたままで行き止まり&引き返しだったりしつつ、

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ようやく広野火力を見下ろせる高台までたどり着いた。
川向こうは津波で流されてしまった跡地なのだろうか。広大な仮置き場のような状態になっていた。

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そして3月にも常磐線で来た広野・久之浜を通り、

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こちらも3月にバスで来て、だけど定休日で残念な思いをした道の駅よつくら港に辿り着いた。いわきだ!馴染みのある場所で心からほっとする。

●<いわき>四倉から久之浜まで海辺ウォーキング

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疲れマックスで、海鮮丼なんか食べたら睡魔との戦いになりそうだし、まもなくいわき市内なので海鮮丼は我慢。

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その代わり、復旧工事が進む四倉港を見ながらコーヒーをいただきつつ、いわき市駅周辺のホテルに電話かけまくった。

4軒断られやっととれたいわき駅前のアルファワン。
もしダメだったら、もう少し先のいわき湯元や北茨城まで走らなくてはいけなかったので、本当によかった。覚悟はしていたけど、やはりいわき市内も復興関連で宿泊施設の需要が伸びているのだろう。

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そして、遂に夕方4時過ぎ、いわきのホテルに到着!

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走行距離は過去最長の200キロだった。

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TVをつけると、福島のテレビ局では放射線・除染に関するニュースが次々と。

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こんな日常も、同じ日本だけど福島県以外の地域に住んでいるとなかなかわからなかったりする。
とても近いのに隔絶されたものを感じる。

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夜は、前回3月にいわきに来た際も訪れた「くいものやTaWaRa」。

●くいものやTaWaRa(たわら):【勝手にいわきガイド】いわき観光・いわきグルメの情報サイト

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豚トロが絶品!

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さらにタコとセロリのマリネ。
ひとりだけなので、あまりいろいろ食べることはできなかったが、持参したSurface Pro3で写真整理などしながら、美味しい料理つまみつまみ、よく冷えたビールを二杯いただいた。ツーリング後のビールは最高だ!

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塩屋崎灯台が描かれたマンホールの蓋など写真に撮りつつホテルに戻り、

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気づけばそう、いつの間にやら・・・

ツーリング最後の夜!!!

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