ヤマハのレンタルボートで横利根閘門&利根川クルーズ
実は世の中には「レンタルボート」というサービスがある。
小型船舶免許を持っているが自分の船は持っていないという人、あるいは自船を停泊しているマリーナからは遠い場所で船に乗りたいという人に時間単位で貸出してくれるというものだ。
その最大手がここ。
2012年に失効していた免許を復活させ小型船舶1級をとって以来ずっと興味あったのだが、昨年秋にひょんなご縁でプレス会員にしていただいたので、さっそく知人を誘って地元・佐原のマリーナから出航することに。
ちなみに「佐原ってどこよ?」という方も多いと思うので、簡単に説明&地元宣伝をば。
佐原は千葉県北東部、利根川沿いにあり、古くから水運拠点として栄えた商業の町だ。2006年に隣接する香取市内の複数の市町村と合併し、現在は「香取市」となっている。
JR総武・成田線でもいいが、便利なのは高速バス。
東京駅八重洲口から毎時間1便ほどの高速バス(佐原・小見川・銚子行き)に乗れば、約1時間40分で佐原駅に到着する。
江戸情緒が残る小野川沿いの一体は「小江戸・佐原」として観光客にも人気のスポット。
ちなみにこの通りは、自分の高校時代の通学路だった(千葉県立佐原高校出身)。
観光客に人気なのは「サッパ舟」。
これは昨年11月に撮影したものだが、船の真ん中の大きなテーブルはこたつだ。1,300円で小野川沿いの両岸の景色を満喫できる。
ちょっと前置きが長くなってしまったが本題のレンタルボート。
もちろん細い小野川にマリーナはない。
レンタルボートが可能なマリーナ「水の郷さわら(川の駅)」は、利根川にある。
●マリーナ詳細 - 水の郷さわら(川の駅) | ヤマハマリンクラブ・シースタイル
まずはスタッフの方から、周辺水域についてのレクチャーを受ける。
逆水門こと利根川河口堰では、立入制限水域に入ってしまったボートがあり死亡事故も起きているそう。そりゃあそこに突っ込んだら大変なことになるよなあ・・・。
そして別のスタッフに案内されてボートに。
このマリーナでレンタルできるのは、定員6名の「FR-20LS」というボート。
平日なら3時間8,900円+実際に使ったガソリン代でレンタルできる。
仮にガソリン代5,000円として、4人で借りたら1人約3,500円だ。
さっそく出航!
ちなみに私は免許とった後もほとんど操船していなくてペーパー状態なので、難しいところは操船スキルが高いOさんに完全頼り切り。
マリーナを出て利根川を少しだけ上ると、北岸側に横利根閘門につながる水門が見えてきた。
ちなみにこの水門の上は道路が走っており、自分がバイクで地元から東京に向かう時は毎回必ず通る場所だ。
その青い水門をくぐって中に入ったすぐのところに、閘門の開閉のための操作盤が設置されていた。
ちなみに「閘門」とは何か。
読みは「こうもん」。
簡単に説明すると「パナマ運河みたいなやつ」だ。
水位が異なる2つの川の連結部に設置される二重水門で、船舶がそこを通過する際には、片側ずつ水門を開けることで、水位を調整する。
左側に状態を示すランプが、右側に開閉指示のためのスイッチ紐が取り付けられている。
自分たちは今から横利根川に向かうので、「横利根川行」と書かれた左側の紐を引っ張る。
そしてしばし待機。
この待機時間が結構長い。
「紐ちゃんと引っ張れていなかったのではないだろうか」
と途中少し心配になるほどに。
じっと黒い水門を見続けていると、ある時突如、じわり動き始める。
結構ワクワクする瞬間だ。
そしてやっと開いた!
ひとつ目・利根川側の水門を通過して、閘門の中に入る。先方には2つ目の水門が閉じた状態で待ち構えている。
そして再び「通船要求」の紐をひくと、今通過してきた水門が閉じ、水位調整が行われた後、前方の水門が開くという仕組みだ。ただ実際には2つの川の水位差はさほどないようで、水位変化もごく小さなものだった。
再びの待機。
そして開いた!
煉瓦作りのこの横利根閘門は、1921年竣工で国の重要文化財に指定されているもの。
利根川改修工事の一部として1914年(大正3年)に着工し、7年後の1921年(大正10年)に完成した。日本における煉瓦造閘門のひとつの到達点を示す近代化遺産として重要文化財に指定されている。
当時、利根川の洪水を防ぐための大改修が行われており、この閘門もその一環で作られたもの。
1994年に行われた補修工事までは、人力で開閉されていたそうだが、今は無人・電動式になっている。それでも基本的な構造などは作られた当時のままだという。
船に乗らなくても、横利根閘門の両岸に作られた公園から間近で見ることもできるので、もし機会があればぜひ立ち寄って見てみて欲しい(ちなみに地元民だけど、これが重要文化財だと知ったのは割と最近)。
そして横利根川に。
写真に写っている装置も同様に、水門の開閉を指示するためのものだ。
横利根川から見た、横利根閘門。
この後少しだけ横利根川を航行し、すぐに戻ってまた閘門を逆向きに通過した。
時間も余っていたので、利根川を下ることに。
まずは私の家がある小見川の「小見川大橋」の下をくぐる。
父が毎日、自宅から鹿島工業地帯に通勤する際に使っていた橋だ。今回父も一緒に乗れてよかった。
利根川のすぐ北側には、鹿島臨海工業地帯が広がる。
そして地元では「逆水門」と呼ばれる「利根川河口堰」。
利根川と常陸利根川が合流する場所に設置された非常に長い河口堰で、海水が逆流して利根川をさかのぼってしまうことを防いでいる。
天気にも恵まれ、最高のクルーズ日より。
利根川下流は川幅も広く、かつ他に航行している船もほとんどなく、貸切状態だ。
初心者でも気持ちよくボートを滑らせることができる。
楽しかった♪
ちなみに最後、マリーナに戻る途中にやっちゃいました自分。
マリーナ入り口近くに浮かぶ島に近づきすぎ、川底に沈んでいた何か硬いものにがつんと。
一体修理費用いくらになるんだろうとドギマギしていたけど、21,800円で済んだのでよしとしよう。いやもっと高額かと思ったよ。
いやー、大反省・・・
こんなにバキバキにしてしまうとは。寄港直前で本当に良かった。