ニッカ余市蒸留所でウイスキー作り体験!~余市マイウイスキーづくり(4)
ニッカ余市蒸留所の「余市マイウイスキーづくり」は2日間かけて行われる。1日目は13時から。2日目は9時に作業着に着替えて集合し12:40には解散となる。
遠方からの参加者も、初日に飛行機で札幌経由でやってきて、2日目にちょっと観光などしてから再び札幌経由で帰ることができる日程だ(初日も頑張れば小樽朝市なんかに立ち寄れる)
2日目はまずニッカ会館の部屋で、樽作りについての講義。10分間のビデオがすごくよかった。隙間なくぴたっとあわさった樽を作るための職人技は見る価値あり!
そしてさっそく、製樽工場での見学&体験に!
個人的には実はここが一番面白かった。
中に入ると、入口には新品ぴかぴかの底板(鏡?)が積み上げられていて、天井からはガマを開いて干したものが大量に吊り下げられていた。講座&ビデオで学習したばかりだけど、樽の鏡部分(蓋になる丸い部分)の周辺と、樽の側板の上部の隙間からウイスキーが漏れてしまうことないよう、湿らせたガマを差し挟んでパッキン代わりにするそう。
ここで説明&実演してくれたのは、製樽工場のスタッフのふたり。どちらもとても若く見えたけど作業に入ったらもうまさに職人技!な手さばきでびっくり。
カンカンと道具を巧みに操ってタガをはずし、鏡をとりはずした。
熟成に使って中の原酒を出荷した直後の樽だ。
なにこれいい香りすぎる!!!
立ち上る香りは、開けた直後ならではなのだろうか。あまりに心地よい香りでみな樽の周りに顔うずめて固まってしまっていた。
この樽は、中を焼くことで再度活性化を図り、もう一度ウイスキーを熟成させるために使われる。中身が空でもかなり重たい樽だが、タイミングよく器用に持ち上げたり転がしたりして、焼き入れを行う機械まで運ぶ。
工程のほとんどが手づくりのウイスキー樽。樽職人の仕事は、原木の見極めから樽の組み立て、内側の焼き入れ(チャー)、旧樽の補修まで多岐にわたります。(ニッカ公式サイト「受け継がれる技「世界でたった15人の内の1人」ニより引用)
そしてセッティング、スイッチを入れて焼き入れ開始!
最初は中に残っているアルコールが燃えるため青白い火だ。
ゆっくりと回りながら、激しい火が噴きだす。
素人的には「そんな燃やしていたら樽に火が付いちゃうんじゃないの!?」と不安になってしまうほど、かなり時間をかけて行われていた。
反対側では、鏡の焼き入れも始まっている。
毎日15個とかだったかな、熟成作業を一度終えた樽をここで開けて、こうして活性化の作業を行うのだという。
「以前は別の工場で樽を壊す作業をしていた。作るのは大変」
「最初の仕事は樽を“起こす”ことだった」
そんな二人の、最初の頃の体験談やうまくいかずに「向いていないのかも」と落ち込んだ話なども聞くことができた。
樽の中のウイスキーは5年、10年と時を経るに従って琥珀色になっていきます。そして樽職人も少しずつ先達の域に近づいていくのでしょう。(ニッカ公式サイト「受け継がれる技「世界でたった15人の内の1人」ニより引用)
いやー、すごい世界だ!
そしてこんなに火を噴いていた樽も、水をかければ一気に鎮火。
あの香ばしい香りは完全に消えていた。
どこか寂しそうなメンバーたち。
内側が焼けた側板のサンプル。
均等にきれいに焼け目が入っている。
そして再度これを組み立てて、次の蒸留に使える「樽」にする作業なのだが、そこで登場するのがこれ。
ガマだ。
開いた状態になっている。
薄っぺらいのかと思いきや、段ボールのような構造になっていて、それがスポンジ的な役割を果たすようだ。
鏡をはめ込む部分にこのガマを丁寧にはめ込んでいく。
普段も見学実演は頻繁にやっていると思うんだけど、今回はブロガー密度多く、あまりに多くのカメラに取り囲まれての中での作業、本当にご苦労様でした。
(自分も体験あるけど、あれは普通に大勢の前で何かやるのとは違う緊張感があります。特に「あ、動画で撮られてる」とか思うと・・・)
最初に外すとき、鏡の位置がわからなくならないよう→で合わせ位置をつけておくのだという。
「西って書いてあるのは何の意味が?」
「あ、それは西澤(スタッフの名前)がやった樽ということです」
一同笑。
この西澤さんが、カンカンといい音立ててタガ(樽を締めている金属製のバンド状態のもの)をはずしたりはめたりする手さばきが本当に見事だった。
最初はこれが全然うまくあたらなかったともう一人の方が話していた。
そして側板の上部にもガマを差し挟んでいく作業。分厚い金属のくさびみたいなので隙間を作り、差し込んできゅっと下に引き下ろす。
こんな感じになる。
そしてくさびをはずす。
この作業を全員で体験させてもらった。
単純作業だけど結構楽しい。
私も真剣な表情で!
最後に外に余っている部分を上部・側面ともに手できゅっと引きちぎって完了。
そしてタガ締め機。
途中までは手作業で締めるが、最終作業はこの専門の機械を使って、きつく、でもきつすぎて切れてしまわないぎりぎりのところまで締めるのだという。
レバーをとんとんと叩くようにしながら締めてゆく。どこまで締めればいいかは音で判断をしているそう。
ここもメンバーの中から希望者3人が体験。
なかなか年季の入った樽。
年間通じて気温や湿度も異なり、樽は膨張したりまた戻ったりを繰り返していく。その際に壊れてしまったり漏れてしまったりということがないよう、このタガも柔らかい素材が使われている。
板をたくさん組み合わせて作っているのもそういう理由みたいだ。
(板8枚の組み合わせで八角形の樽にしたほうが楽じゃんとか思ってたけどそういうことでもないみたい)
そうして樽作り見学&体験を終了し、いよいよ最後の「マイウイスキー樽詰め」へ。
> 続く(樽詰め)