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成田山の護摩供で陸前高田市の松30本をお炊き上げ

写真今は、世の中に「不安」という風が吹き荒れているので仕方ないのかもしれない。そして一部であっても住民から反対の声が起こったら、それに対抗して実施というのは実際問題、とても難しいことなのかもしれない。恐らく主催者・関係者の人達も苦渋の決断だったのは確かだと思う。

そうは思っても、記事読むたび悲しくなるのも事実だ。

●被災マツ、大文字使わず 「放射能不安」で一転(京都新聞)

東日本大震災の津波で倒れた岩手県陸前高田市の景勝地「高田松原」のマツを京都に運び、五山送り火の「大文字」に使う計画が中止になったことが5日、分かった。マツの放射能汚染を懸念する声が京都市などに寄せられたためで、8日に陸前高田市で燃やす方針という。

京都では中止に反対する声が相次ぎ、再度使うことになったが、新たに取り寄せようとした松からセシウムが検出され、結局中止に。陸前高田市で松を薪として販売し復興支援につなげるプロジェクト自体も中止となった。

●花火大会:苦情相次ぎ福島製打ち上げ中止 愛知・日進(毎日.jp)

愛知県日進市で18日夜にあった花火大会で、放射性物質の拡散を心配する声が市に寄せられたことを受け、市などでつくる実行委員会が、福島県の業者製造の花火の打ち上げを中止していたことが分かった。大会は「にっしん夢まつり・夢花火」。東日本大震災の復興支援を掲げ岩手、宮城、福島県の花火各80発を打ち上げる予定だった。

●福島支援の販売店中止、「放射能拡散」抗議で

東京電力福島第一原発事故の風評被害で苦しむ福島県の農家らを支援しようと、福岡市西区の商業施設「マリノアシティ福岡」で17日に予定されていた「ふくしま応援ショップ」の開店が、中止されることになった。出店を計画していた同市の市民グループ「ふくしまショッププロジェクト」などに、「福島からトラックが福岡に来るだけでも放射性物質を拡散する」といったメールや電話が相次いだためで、同団体は新たな出店先を探すという。

全国的なニュースになっていないだけで、
他にも同様のことは各地で結構頻繁に起こっているのかもしれない。

京都の送り火は、全国的に有名なだけに「京都の人は冷たい」という声があがったが、非常につらかったのはたぶん京都を愛する地元の人達で、多くの市民は「一部の人が反対したために・・・」と、いたたまれない思いで一杯だったろうと思う。

花火大会で寄せられた苦情は、「殺到」と書いてある記事もあったが、別のニュースでは「20件以上」とある。多分本当にごく一部なんだと思う。

反対の声と違い、賛成の声は普通あがらない。

そりゃそうだ。
花火大会で、「復興支援のため、福島県の業者の打上げ花火を80発を打ち上げる」とパンフレットに記載してあって、「確かに福島県内の被災地での花火大会が今年はないから、歴史ある地元の花火業者さんは存亡の危機だわね。いいことだわ」

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そう思ったって、わざわざ電話やメールする人はいない。

でもこういう出来事が一度起これば、他の地域であえてリスクを冒して花火を福島県の業者から調達しようとする自治体やイベント主催者はがくっと減ってしまうだろう。万が一住民反対に押し切られて取りやめになったら、全国ネットでテレビ報道されてしまうのだから。

アンテナショップにしてもそうだ。

そんな中、一ヶ月以上前から陸前高田市の松を使うと発表していた、成田山新勝寺。

京都の送り火の時に成田山のこともかなり報道されたので、逆に住民不安を煽って、実施への圧力がかかってしまうんじゃないかなあと心配もしていたんだけど、いよいよ明後日。

予定通り、実施するようだ。


このたびの柴灯大護摩供は、ご信徒皆様の開運厄除、特には東日本大災害による被災物故者の供養と復旧、復興を祈願して執り行います。

護摩壇の壇木として津波で流された岩手県陸前高田市の景勝地「高田松原」の松30本(4.5×4.5×90cm)を奉戴し、お焚き上げいたします。

このことについては、(財)日本分析センター並びに(財)千葉県環境財団に検査を依頼し、その結果、放射性物質(セシウム、ヨウ素)未検出との解答をいただき、お焚き上げが問題ないとの確認をいたしております。

なお、ご信徒の皆様からお納めいただいた護摩木の初穂料は、復興支援として陸前高田市に全額を寄託いたします。

何卒、本行事の開催に格別のご信援を賜りますようお願い申し上げます。

大本山成田山新勝寺


●成田山新勝寺「開運厄除 柴灯大護摩供 護摩木祈願 火渡り行」

放射能測定結果報告書も、スキャナされたものが掲載されている。

恐らくここでも、市民からの反対の声は寄せられていたと思う。
京都だから福岡だから、関東だからということではないはずだ。

ただ、東国鎮護の霊場「成田山」として、きっと主催側が強気の姿勢というか、堅い使命感ももって臨んでいるのだろう。あと無策のまま直前までいるのではなく、納得させられるだけのデータを自ら調査機関に依頼してとり、公開して、スピーディーに先手を打った点が違うのかもしれない。

「近隣住民反対で取りやめることになったら・・・」

と、最初からリスク恐れて福島はずしの動きがでてしまうことは本当に怖い。

成田山のこの事例が「評価されるいい事例」として広がること。
「反対」の声を上回る「賛成」の声が可視化され、東日本大震災で苦しんでいる地域と人達がさらに痛手を被らないこと。そしてもう一度、春先の「全力で復興を支援していこう」というムーブメントが日本全体に広がることを願わずにはいられない。

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