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遠野まごころネット拠点にボランティア活動<2012年版>

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遠野まごころネットは、昨年末に事務所&宿泊棟を浄化センターに移転した。3月10日~14日までここ拠点に沿岸地域でのボランティア活動に参加させてもらったので、中の様子などレポートしたい。

●遠野まごころネットを拠点にボランティア活動・・・昨年8月のレポート
●遠野まごころネット公式サイト

詳しくは公式サイトを見てほしいが、「遠野まごころネット」は、遠野市の社協やNPOなどが合同で組織する組織で、全国から集まった個人・団体のボランティアを受け入れ、沿岸部被災地のニーズとのマッチングを行い、毎朝何台ものバスをだしてボランティアを現地に送りだしてきている。無料で宿泊できる施設を提供してくれているので、長期滞在して活動を続けている人も多い。


遠野まごころネットへの行き方

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東京から行くなら、上野・秋葉原・池袋からの深夜高速バスが便利。

●国際興業バス:高速バス〔遠野・釜石号〕

池袋発21:40
秋葉原発22:10
上野発22:20
遠野駅着6:00

片道8,500円/往復15,300円だ。
インターネットや電話で予約してコンビニで発券してもいいし、コンビニの端末(セブンイレブンのマルチコピー機やローソンの「Loppi」など)で直接購入することもできる。

ちょっと根性だせば、「青春18きっぷ」使っていくことも可能だ。

●青春18きっぷで遠野まで行ってみた

駅からは徒歩10分ちょっと。


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遠野駅前で降りたら、線路沿いに西方向に歩いていくと踏切がある。

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踏切を渡ったら、一個目の交差点を標識に従って左折して、後はずっと道なり(線路なり)に住宅地の中を進んでいくと、浄化センターの大きな門の前にでてくる。

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道はシンプルなので迷わず行けると思う。
荷物が大きければ、駅前からタクシーを使えばいいだろう。

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入ったら浄化センターのメインの建物の前を向かって左側に回り込むと、プレハブ数棟が立ち並ぶところにでてくる。左手の茶色いほうが遠野まごころネットの事務所と宿泊棟があるところだ。


宿泊棟は男女別の畳敷きプレハブ

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最初ちょっとわかりにくいが、ここが入口。

朝早くに到着しても結構たくさんの人が出入りしていて少し緊張するが、ほとんどの人が同じ個人ボランティア。笑顔で「おはようございます」と声をかけてみよう。きっと笑顔で挨拶返してくれるはずだ。

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靴は脱いだらもってあがり、玄関入ったところにある靴箱に並べる。
私が訪れた時は、3月11日を含めてボランティア活動に来た個人・団体も多くかなり混みあっていた。

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入ってすぐ左手に事務局がある。
着いたらまず、ここで名前や連絡先を書いたり、ボランティア保険のカードを提示したり、初めての人の場合簡単なオリエンテーションを受けたりする。

ただ朝は6時半まで開かないので、もし早くについてしまったら、通路はさんで反対側にある男女の宿泊棟に荷物を置いてこよう。

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事務局のプレハブと、男女宿泊棟の間は、角材と透明なトタンで囲われた明るい通路になっている。

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手前が男性の宿泊棟。奥が女性の宿泊棟。

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中は40畳とか50畳とかの広さの部屋になっていて、周辺には荷物を置くための棚が設置されている。真ん中には灯油ストーブ。外から入っていくと「暑すぎる」くらいだ。

初めて来た人だとここでちょっと戸惑う。

「どこに荷物入れたらいいんだろう?」

きょろきょろしていれば誰かが声をかけてくれる可能性大だが、先に笑顔で「おはようございます」と声をかけ、躊躇せず聞いてしまおう。

「今朝着いたばかりなんです。教えてもらってもいいでしょうか。荷物ってどこ置いたらいいんですか?」

ボランティアで来ている人は、若い大学生から年配の人まで、基本とっても親切で面倒見のいい人だらけだ。最初だけ勇気をだして話しかけてしまえば、きっといろいろ教えてくれるはず。

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こっちは男性の宿泊棟。
撮影したのが夜のため、寝るためのマットや寝袋が広げられていて少々雑然とした感じだが、女性の宿泊棟より少し広い程度で作りは一緒。

電源もあちこちからとれるようになっていて、携帯を充電したり持参したノートパソコンを使ったりできる。

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食事は、外に食べに行く他、お弁当を買ってきて中で食べてもいい。キャンプ用のプラスチック製のお皿やカップなど持参して、レトルトのご飯や惣菜を電子レンジで温めて食べている人もいた。

男性宿泊棟は21時までは女性も出入り可能なので、グループやボランティア活動で一緒になった人同士、輪になって一緒に晩御飯を食べている風景も見られる。

早朝に到着して、その日から活動を開始する場合には、途中でお弁当など買ってきておき、屋外でのラジオ体操&全体ミーティング前に部屋で朝食を済ませておいたほうがいいだろう。


電子レンジに洗濯機など設備いろいろ

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ボランティア受け入れ始まった当初は何もなかったそうだが、約一年近くの間に数万人のボランティアがここを利用する中で、いろいろ設備も充実し快適な居住空間になっていったそう。

まずは電子レンジ2台にトースター1台。

右側にある大なべの豚汁は、確か前の日に陸前高田かどこかで炊き出しをやった残りだったと思う。他に漁師さんからいただいたというわかめが置かれていたりすることも。

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調味料やコーヒー・お茶など、自由に飲めるようになっている。
なぜか大量に置かれていたホイップクリームが大人気で、パンを焼いてこれを塗って食べている人や、コーヒーにたっぷり乗せて飲んでいる人がいた。

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給湯器は1台。
お湯が少なくなったなと思ったら、すぐ近くに置いてあるヤカンで追加するのを忘れないようにしよう。この拠点は、利用するボランティアによる自主運営で成り立っている。

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洗濯機は4台。

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あと新品の乾燥機も4台。
私が訪れた3月中旬時点では、まだ利用不可になっていた。

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洗濯機の奥には、お湯もでる洗面台が4つ。
かなり幅広く、蛇口はぐっと引き出して頭も洗えるようになっている。

ドライヤーも共用のものだ。

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事務局の外壁には、さまざまな掲示物が。
バスで温泉まで送迎してくれるツアーの案内などもある。

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あと求人票も。
子供達とのレクリエーションだったり、雪かきだったり炊き出しだったり、その時々のニーズに応じた作業の求人があり、やってみたいものがあれば名前を先着順で書きこむ方式。

これ以外に、毎朝屋外で行われる全体ミーティングの時に、大槌町や陸前高田などでの瓦礫撤去(宅地清掃や側溝清掃など含む)の募集が行われ、そうしたハード系の作業に参加したい人は、そこで手をあげるなり、募集の列に並ぶなどする。

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トイレ。
毎日17時からの清掃タイムで全員で宿泊棟やトイレを一斉に掃除するので、中はとってもきれいだ。

シャワーは3月13日から設置作業が開始されたので、あと少しすればできあがり、無料で使えるようになるだろう。今は歩いて7分ほどのところにある銭湯「亀の湯」を利用するか、車で送迎してもらって、水光園などの施設を有料で利用しなくてはいけない。


寝る時は防寒が大事

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2月の本当に寒い時期は、深夜の気温がマイナス10度以下になってしまい、冬用の寝袋でないと厳しいと聞いた。寝ている間は灯油ストーブを消すからだ(明け方の一番寒い時間帯には自動でエアコンが入るようになっている)

ただ私が訪れた3月中旬は、冬用の寝袋でなくても、毛布をかけ、暖かい恰好で寝袋の中に潜り込めばそれほど寒くはなかったと思う。

畳の上に敷くゴムのマットと毛布を1枚ずつ使うことができる。
人が少なくて確実に余っているなら、毛布2枚使ってしまっても大丈夫だと思う。

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「ひとり畳1枚分」が占有していいスペースの目安(人数が多い時はもっと詰めないといけなくなる場合もあるけど、だいたい大丈夫らしい)。

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5月石巻でチームメイトだった個人ボラのミキティに実演してもらった「夜寝る時のスタイル」。
寝袋の上に毛布をかけ、すっぽり入る。

できれば毛糸の帽子などあると頭が冷えなくていいだろうとのこと。

冬の間は風邪予防のため、また喉を乾燥から守るため、できれば不織布のマスクなどして寝るといいかもしれないとのこと(室内で咳き込んでいる人がいる時など)。

遠野まごころネット公式サイトには「寝る時の装備マニュアル」がイラスト付きであるので、それも参考にしてほしい(イラストを書いたのはミキティ)。

夜は22時から朝6時までは完全消灯。
他の人の安眠を損ねないよう、この時間帯は他の人と話し続けたり、荷造りをがさごそするなども禁止というルールになっている。

作業で毎日疲れ切っている人もたくさんいるので、共同生活を送る上での最低限のマナーは守ろう。

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朝は各自朝食をとり、荷造りをしたら7時40分から全員でラジオ体操。
(もしかしたら7時半だったかも)

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そして、事前に求人票に名前書いた人以外は、ここで作業の振り分けが行われる。各現場の隊長さんが前にでてその日の作業内容を発表してくれるので、参加したい作業があれば、その列に並ぶ。

人数制限もあるが、基本「何も仕事がない」ということはないはずだ。
ボランティアニーズはまだまだたくさんあるので。

そして行先ごとにバスやワゴン車に乗り込む。
遠野から沿岸被災地域までは、片道1時間以上。途中トイレ休憩やコンビニで昼食購入タイムなどがとられる。

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現地についたら、最初に安全のための避難ルートの説明など受け(もし地震が発生して津波注意報などが出た場合に備え)、作業にとりかかる。

「どこから来たんですか?」
「何日目ですか?」
「これまでどんな作業に参加しました?」

なんて初めての人同士、自己紹介したり他の現場の情報交換などしながら、若い人からシニア層まで年齢も越えて和気あいあいと。

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・・・ということで、かなり長くなってしまいましたが、遠野まごころネットというボランティア拠点の様子と簡単な流れをさっくりレポートしました。

中でのルールや設備などは随時変化していきますので、最新の情報は必ず公式サイトで確認し、ここに書いてあることはあくまで3月中旬時点での状況として、参考程度にしていただけたらと思います。

「ボランティア活動したいけどどうしたらいいんだろう?」という方にはここおススメです。大震災から一年が経ち、関心も薄れつつある今ですが、瓦礫撤去から仮設住宅での生活支援などニーズはたくさんあります。体力に自信がない人でもできる仕事はたくさんあります。60代・70代のシニア層もかなり来ています。私も今回、69歳の父親を同行しましたが、若い人とも交流しながら、無理せず、気持ちいい汗を流していました。

そしてきっと「参加して本当によかった」と思える経験ができるはずです。
少なくとも私はそうでした。

よかったら2011年8月時点のレポートも見てみてください(場所は移転前のものです)

●遠野まごころネット公式サイト
●遠野まごころネットを拠点にボランティア活動・・・昨年8月のレポート

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最後に一枚。
春休みを利用して長期滞在で活動している大学生のみいさん。

携帯で撮ったのでちょっと赤くなっちゃいましたが、とってもキュートな方で、私が帰る時わざわざ玄関まで見送ってくれました。ありがと~! 頑張ってね!

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