• 広告を利用しています/紹介製品の価格・スペックは記事作成時点のものです

「神の島」パナリ~伝統家屋が立ち並ぶ静かで美しい新城島・上地島

写真

沖縄の離島は観光開発が進んでいる島ばかりではない。観光客がどっと押し寄せて島の秩序を乱すことを好まない集落もある。

写真

新城島のうち北側にある有人島、上地島もそのひとつだ。

今は多くの住民が家を残したまま石垣島に移り住んでいて、お祭りや儀式の時だけ島に戻ってくる生活をしており、常時住んでいるのは数名とのこと。

島の中には何箇所も立ち入ってはいけない聖域であるお宮があり、「神の島」とも呼ばれている。

周辺のサンゴ礁海域がシュノーケルスポットとして非常に人気も高く、ツアーでは上地島に上陸して散策するというプランが組み込まれたものも。そうして上陸した観光客が集落に入り込み、伝統家屋立ち並ぶ集落に入り込んで勝手に写真撮影したり、石垣に空き缶やゴミを放置して去っていくという迷惑行為も多発しているそう。

写真

ということで今回、観光PRサイト制作の取材に同行して上陸するに際し、公民館役員の方にご同行いただき、注意事項なども伺いながら島の名所を訪れることとなった。

集落内部には観光客にあまり入り込んで欲しくないということで、その外周の道を歩きながら一つ目の観光名所である「タカニク」に向かった。

島内は実際とても独特な空間が広がっていた。
とにかく静か。そしてきれい。

写真

この日は火の神様を送る儀式があったそうで石垣島からも住民が戻ってきていたそうだが、人とすれ違うことは一切なく、もちろん車や自転車をみかけることもなかった。

あまりに静か過ぎる集落の道。

横道をみると、家はすべて塀で囲まれた敷地内にあり、普段は人が住んでいない家も多いというが、庭の芝生も家もとてもきれいに手入れされていた。

写真

島の西側の道をまっすぐ北上した突き当りに「タカニク」があった。
小さな高台は石を積み上げて作られたもの。

写真

周辺海域を監視するため宮古諸島や八重山諸島の島々に設置された高台「火番盛」のひとつだ。

●先島諸島火番盛 - Wikipedia

異国船などを見つけるとのろしで他の島に伝達し、石垣島にあった琉球王府の役所に通報された。たとえるなら・・・

「琉球王国時代の海上保安庁支部」

といった感じだろうか。

一番上まで登るとそこは外周に岩を並べた丸いスペースができていた。

写真

それほど高いわけでもないのに見回してびっくり。
わずか2~3m視野が高くなるだけで、見える世界はがらり変わる。

写真

今まで歩いていた道からは想像できないような風景が広がっていた。

写真

島は、濃くうっそうと緑生い茂るジャングルだった。

写真

もちろん海も遠くまで見える。
ここで島周辺海域の監視をしていた人は、のろしのたき火を囲んで一日中そして一晩中海を見つめ続けていたのだろうか。

もし2人体制とかだったら、きっといろいろな話をしていたんだろうな。うっかり寝込んじゃって怒られた若者もいたと思う。

彼らが17世紀に見ていた風景は、島側も海側も今とまったく違いはないはず。そう思うと何だかすごく不思議な気分になる。

写真

その後、今度は集落の反対側の外周の通りを歩いて戻ってきた。同行してくれた公民館役員さんの親戚の女性ふたりが縁側でお茶している家もあり、手招きで中に入れてもらいお菓子をいただいた。

写真

ハイビスカスがきれいな家だった。

写真

これは貯水池。
今は水道がとおっているので必要ないが、昔はここに水をため使っていたという。同じものは下地島にもあった。

●新城の島民の現状・新城島『島の散歩』

この記事によると、水道が引けたのが1975年ということなのでそれほど昔ではない(私は5歳だった)。電気は1988年に24時間点灯可能になったと書かれている。それまでは島内での自家発電だったのかもしれない。

それにしても、多い時は700人以上の人口だったんだ!
今は上地島に常時住んでいる方が4名とも10名前後とも聞いている。

写真

集落の入り口には一匹のヤギ。
まるで門番のようでもあり、人間のような目つきで前足を柵にかけこちらを見ていた。

写真

桟橋のところまでもどってくると、ちょっと急な階段を登った。
「クイヌパナ」と呼ばれる展望台で、ここからの眺めも見事!

写真

沖合いに見えるのは下地島。
その間のサンゴ礁も人気のシュノーケルスポットだそう。

写真

今回のような雨天でさえなければ、非常にきれいな海の色が楽しめる場所。下地島も上地島も、真っ白いビーチが長く続いている。

写真

上地島周辺には、根元が波で侵食されたキノコ型の岩がにょきにょき。

写真

にょきにょきといえばこれ。

「キンチョウ」という多肉植物でカランコエの仲間。集落の石垣にはこれがたくさん生えていた。なんともかわいい。

葉っぱ一枚地面に刺しておけあれば根が生えてきて育つという。
しかし不思議なことに、家屋周辺の石垣やこうした場所にしか生えていない。いったいどこから養分を補給するのだろう?日当たりさえよければいいのかな?

写真

上陸した桟橋まで戻ってくると、なぜかビーチに赤み帯びた同じ種類の巻貝のカラが大量に転がっていた。ガイド内藤さんによると、人が食べた後に捨てたものだそう。現代の貝塚だ。

写真

美味しそうだなあ。
茹でたてをちゅるっといただきたい!

そうして、神秘の島「パナリ」こと新城島のふたつの島の訪問をおえ、またチャーター船に乗り込んだ。

写真NGなのでもちろん撮っていないが、2か所、聖域である御嶽の前も通った。「これより先は立ち入らないで下さい 新城公民館長」という看板も立っていた。

上地島港には「来島者へお願い 1.無断でお宮に入ったり、勝手に願い事をしてはならない 新城島公民館長」と書かれた看板が掲示されている(2004年7月)。御嶽信仰では御嶽は聖域であり祭司以外は住人でも立ち入らせずとくに男子禁制である。願懸けの対象とさせないことも伝統とされる。(Wikipedia「新城島|御嶽」より)

住民こそ少なくなっているが、今でもお祭りや様々な儀式があれば石垣島から島民たちが戻ってきて皆で参加をするという。

島の人達が大事に守ってきている場所を、わずか数時間上陸するだけの観光客が土足で踏み込んで荒らしてしまったりしては絶対にいけないとあらためて思った。

そういう点で、やはり上陸にあたっては、パナリ島ツアーを専門に行っていたり、島の状況にも詳しい人がガイドをしてくれるところが安心なのかなと。

今回お世話になったエコツアーりんぱなや上地観光などもそのひとつだと思う。

●石垣島エコツアーりんぱな
●上地観光

+++

今回は残念ながら一日曇天&雨天となってしまい、「地上にこんな美しい場所があったのか」と多くの人が目を丸くするというパナリの海は体験できなかったが、次はきっと、夏のベストシーズンに訪れ、サンゴ礁でのシュノーケリングそして真っ白なビーチを満喫したい!

●Googleで「パナリ ビーチ」画像検索
●次は八重山公式サイト「新城島(あらぐすくじま)」

> 続く

[旅]八重山離島めぐり2013年1月の記事一覧