神秘の島「パナリ」こと新城島の下地島を散策
八重山の離島めぐり最初に訪れたのは新城島。
新城島(あらぐすくじま)は、西表島の南東の沖合いにあるふたつの島からなる(写真はチャーター船の中で食べた絶品!八重山そば)
地元の言葉で「離れ」を意味する「パナリ」とも呼ばれている。
北側の細長いのが上地島、南側の丸いのが下地島。
サンゴ礁に囲まれた島で、干潮時には海面にうかびあがるラインを歩くことができるそう。
定期航路はないため、今回上地観光の船チャーターで訪れた。ガイドとして案内してくれたのはエコツアーりんぱなガイドの内藤さん。
島の人が聖域として大切に守ってきている御嶽も何箇所かあり、鳥居の中に足を踏み入れるのはもちろん外から写真を撮ることもNGなため、上地島では新城島公民館の役員の方にそのあたりの注意事項もいただきながら島内取材をさせていただくことになった。
まずは下地島。
今は無人島になってしまったが、牧場がありそこの人が作業で数人入っているそう。ちょうど自分たちの船が着岸する時、郵便配達の船(!)がきていた。
あいにくの雨天。
それでも海の色は美しくビーチも見事!
・・・と言ったら、ガイドの内藤さんも船のケンさんも「いやいや、晴れている時は全然違う」と。
そして冬の間は北風でいろいろ漂流物もビーチに打ち上げられてしまうんだけど、夏になるとそれらも除去され、光るほどきれいな白砂ビーチになるそう。
Googleで「パナリ ビーチ」画像検索すると、息を呑むような写真がいっぱいでてくる。
上地観光のケンさんは、ずっと昔、まだ下地島に観光客向けの施設などもあった時代に物資運送で島に上陸し、あまりの美しさに魅せられ、その後パナリ島ツアーを企画実施する仕事をはじめたのだと話していた。
島の中へ。
タコ足どころかくらげの足のように支柱根たくさんはやした木々。
幹の太い木が途中でぼきぼき折れ、複雑な形になっているものも。台風の爪あとだろうか。つる性の植物もからまって、まるで熱帯ジャングル風景。
船内で内藤さんお手製の八重山蕎麦とゆし豆腐をいただいた後、「島の奥に何かの入り口みたいなものがあった」「それは昔営業していた観光客向けのバーベキューハウスだ」という話になり、当時の様子も知っているケンさんが案内してくれることになった。
花壇になっていたんだろう丸く岩を積んだものも点在。
放牧されている牛がたまに脱走して紛れ込むらしく、あちこちに巨大な糞のトラップもあった。
そしてたどり着いたのは・・・
えええっ!?
今誰も住んでいないこの島に、小中学校があったんですか!!!
びっくり。
この建物が学校だったのかどうかはわからなかったけど、一階部分に食堂のようなものを備えたコンクリの建物があった。
外から覗き込んで撮影。
たぶん茶色いところがカウンターでその奥が厨房だろうなあという感じの間取り。
扉がなくなっていて外から丸見えになっている部屋には、なぜか白シャツとネクタイが吊るされ、ベッドの上にはビデオテープ。窓辺にはコミックも並んでいて、まるで突然住人が消えたような風景。
どうしてこの状態のまま無人になってしまったんだろうと考えてしまう。
そして隣接している伝統家屋のほうはさらにすごいことに。
赤がわらの屋根をつたった木の根っこがひさし部分から地面に伸びている様子は、前に訪れたアンコールワット遺跡を思い出す。あそこでも寺院の建物が巨大な木々に飲み込まれていた。
・・・と思いながら近づいていったら!
なんと家の中央に巨大な木!
屋根を突き破って伸びている!!!
家の周囲に触手のように根をはりまくる木。
なんだか動き出しそうな雰囲気すらある。
もちろんこれ、入っちゃ絶対だめ。
外壁に近づくのすら危険な雰囲気があった。
廃屋風景にちょっと胸ずきっと痛んだのは、
東北の津波被災家屋の記憶がよみがえってしまったため。
同じく完全に木に飲み込まれていた建物。
ここがバーベキューハウスだったそう。
もしかしたら知り合いでも、昔ここ訪れたという人がいたりするのかも。
入り口付近に植えられていた木が四方八方に枝と根を伸ばしている。
宮崎駿アニメに登場しそうな、なんというか現実離れした不思議な風景でもある。
南の島の木の成長力ってほんとすごいんだね!
完全封鎖状態。
一本道にもどりもう少しだけ奥に歩いていくと牧場があった。
その昔、住人もいて小中学校で学ぶ子供たちもいて、観光客が上陸してバーベキューを楽しんだりしていた下地島、今は牛さんたちがのんびり草をはんでいる。
なかなか貴重な体験ができた。
そして次は上地島!