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日本アフィリエイト・サービス協会「アフィリエイト・ガイドライン」発表会(1)協会&ガイドライン

写真10月19日(木)、今年2月に設立された「日本アフィリエイト・サービス協会」による「アフィリエイト・ガイドライン」の発表会が行われた。速報記事に追加する形で、発表内容などをまとめてみたい。

「アフィリエイト・ガイドライン」発表会(速報)
「アフィリエイト・ガイドライン」発表会(1)協会&ガイドライン
「アフィリエイト・ガイドライン」発表会(2)各社代表コメント
「アフィリエイト・ガイドライン」発表会(3)記念撮影
 
 
場所は帝国ホテル。

ネット系メディアだけでなく、日経、読売など全国紙、NHKのテレビカメラも入っており、「アフィリエイトネタでこんなに集まるのか!」と驚く自分は、なぜかメディアでもないのにちゃっかり最前列で取材。隣は以前取材を受けたことがある日経新聞の記者の方だった。

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まず、司会の飯島氏から壇上に並ぶ加盟各社社長の紹介。
協会事務局を担当する飯島氏は、バリューコマースの広報担当だ。

びっくりしたのは壇上の顔ぶれ。
大手ASP7社の社長が勢ぞろい。

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右からアドウェイズ岡村社長、インタースペース河端社長、ウェブシャーク木村社長(大将)、トラフィックゲート小宮山社長

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右からバリューコマース ブライアン・ネルソン社長、ファンコミュニケーションズ柳澤社長、リンクシェア・ジャパン花崎社長、(演台に隠れてしまっているが)バリューコマース ティモシー・ロナン・ウィリアムズ会長

日本アフィリエイト・サービス協会の会長は、バリューコマース会長のティモシー・ロナン・ウィリアムズ氏。入力面倒なので、以後「ティム氏」と省略させてもらう。

ひととおり紹介と短い挨拶が終わると、協会会長ティム氏より、挨拶とガイドラインについての紹介スピーチが始まった。
 
 

日本アフィリエイト・サービス協会について

まずは、日本アフィリエイト・サービス協会の概要。

2005年に複数のアフィリエイト広告提供企業(いわゆるASPのこと)の中から業界団体を作ろうという話が起こり、準備を進め、今年2月28日に正式に「日本アフィリエイト・サービス協会」を設立した。加盟企業は下記7社。

株式会社アドウェイズ
株式会社インタースペース
株式会社ウェブシャーク
株式会社トラフィックゲート
バリューコマース株式会社
株式会社ファンコミュニケーションズ
リンクシェア・ジャパン株式会社

来年以降はさらに増える可能性もあるが、設立時点では7社。
2月以降、毎月各社で話し合いの時間をとり、ガイドラインを作成した。そこには顧客の声、経済産業省の意見なども盛り込まれ、アフィリエイト・マーケティング協会とも意見交換を行ってきた。

会長はバリューコマース会長で創業者のティム氏。

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副会長はファンコミュニケーションズの柳澤氏とリンクシェアジャパンの花崎氏。
アドウェイズの岡村氏が監査役で、理事にインタースペースの河端氏、トラフィックゲートの小宮山氏が就任。役員は理事会決定により年毎更新。



■日本アフィリエイト・サービス協会の目的

アフィリエイト・マーケティング業界の啓発活動と健全なる発展を促進するために、アフィリエイト・サービス提供者間でオープンかつフェアな情報交換と情報の発信を行い、消費者、アフィリエイト・パートナー、広告主の満足度向上に寄与することを目的としています。

本当に、こうした活動とそれを推進してゆく業界団体、強く求められていた部分だ。

競合各社をとりまとめての協会発足、そしてガイドラインの策定は、並々ならぬ苦労と議論と残業の賜物だろうと思う。バリューコマースの飯島氏(事務局も担当)、ファンコミュニケーションズの杉山氏、ほか関係者の方々に、大きな大きな拍手を送りたい。

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アフィリエイト広告市場

次にアフィリエイト市場の規模や成長についての説明があった。

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2つのグラフが示された。

ひとつは電通が発表した1996年から2005年にかけてのインターネット広告費推移。2005年は2800億円に達している。自分が検索エンジンに転職しインターネット業界に足を踏み入れた年の数字につい目が行ってしまう。1998年は114億円、今のわずか4%だ。でも伸び率はすごい。翌年1999年は241億円、そして2000年は590億円。毎年2倍以上という成長率だった。

右側は矢野経済研究所がまとめたアフィリエイト市場の数値。
こちらは、ASPの売上げベースの推測値。2002年の35億円が2005年には314億円と、この成長率も本当に大きい。あくまでASPの売り上げということなので、アフィリエイトを介した流通総額は何千億円という規模になる。

ティム氏が特にコメントしたのは、モバイルコマースについて。
欧米ではモバイル経由でのEコマースはほとんどないが、日本では数字を大きく伸ばしている。

確かに棒グラフでは、2005年の314億円のうち62億円が携帯となっている。全体の20%を占める数字だ。

アフィリエイト広告市場の参加者は現在も増加中とのこと。
2006年8月時点での、加盟7社の公表数値を合算したものは下記のとおり。


・広告主:約8000サイト
・アフィリエイト・パートナー 約1,000,000サイト

「どの程度のかぶり(重複)があるのか」「公表数値の基準は同じなのか」など細かい質問が後で記者から投げかけられるかと思っていたら、意外にもなかった。ここ、いろいろ細かく聞きたい部分だったりするので後で個別に質問してみようと思う。

「加盟7社の参加者の合計が業界全体に占める割合は8割程度と推計」と資料に書かれていた。


「アフィリエイト・ガイドライン」について

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ここからが今回の発表会のメインテーマである「アフィリエイト・ガイドライン」。


■アフィリエイト・ガイドラインの目的

一部に見られる・・・

・アフィリエイト・パートナーによる迷惑行為・不正行為
・消費者の保護が不十分な広告主
・アフィリエイトの名を騙る詐欺商法

これらの脅威から・・・

・消費者を保護し、健全な市場育成を図る
・業界の社会的な認知度向上

個人的にはやはり、一番目の「アフィリエイト・パートナーによる迷惑行為・不正行為」対策に興味がある。

アフィリエイト・ガイドラインの特徴としては、3つの点があげられた。


・アフィリエイト・サービス提供者、広告主、アフィリエイト・パートナー、関係三者の行動基準を包括的に規定しています。
・不正行為に関する情報を共有します
・当初から業界関係者の約8割が遵守する業界標準です

ガイドラインを、大手ASP7社が足並みをそろえて作った意味は非常に大きい。ASPは、ECサイトに対しても、アフィリエイトサイトに対しても「サービス強制解約」という制裁措置をとることができる立場にある。したがって、ガイドラインを、もっとも実効性をともなう形で運用できる。

ちなみに、ガイドラインそのものは、協会の公式サイトで全文を読むことができる。

アフィリエイト・ガイドライン(日本アフィリエイト・サービス協会)

内容は5つのテーマに分かれている。


1.アフィリエイト・プログラムへの参加について
2.広告主とアフィリエイト・パートナーとの提携について
3.広告の設定・配信について
4.アフィリエイト・プログラムの終了について
5.個人情報の保護と法令の遵守について

もともと各社それぞれが、ガイドラインを有している。使っている用語も異なれば、当然認識・スタンスの違いもあっただろう。
議論を重ねて、最大公約数という形で策定したということだが、あとでちょろっと聞いた話だと、刷りあわせきれずに削除となった部分や、内容をどんどん修正していった部分などもあり、最終的にこの形にまとめるまでには、相当な苦労があったようだ。

決して、なにか斬新なガイドラインをまっさらな状態から作り出したということではないだろうが、7社もの企業間の調整になるわけだから、その作業は、本当に大変なものだったのだろうなと思う。

ティム氏によると、11月1日の日経BPネットマーケティングフォーラムで、ガイドラインの詳細について説明する予定があるとのこと。時間があったらそちらも覗きにいってみたい。



■アフィリエイト・ガイドラインは自主的な業界標準

アフィリエイト・サービス提供者、広告主、アフィリエイト・パートナーが、それぞれの立場で正しい知識を持ってアフィリエイト・プログラムを運営することを目指す、自主的な業界標準です。


ここについて、特にティム氏からの詳しい説明はなかったが、機会があったら飯島氏などにこのあたりいろいろ聞いてみたいと思う。

アフィリエイトは、通信販売、広告などの領域として考えた時に、いろいろグレーな部分を持っていると自分は思っている。時に一般消費者が不利益を被る可能性もないとはいえない。以前、経済産業省の方と話をさせてもらった時、アフィリエイトサイト上の表記が消費者に誤解を招くようなものになる危険性や、アフィリエイトという存在をどう定義づければいいのか・・・というような話になったことがある。

問題が表面化して規制がかかってしまう前に、こういう形で業界が自主的にガイドラインを制定して、正しい方向に進むよう自ら舵取りをしてゆくのは、とても大切なことだ。

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■今後の課題

・日本アフィリエイト・サービス協会と加盟各社は自ら定めたガイドラインを遵守し、関係者に対してガイドラインの認知を図り健全なアフィリエイト・マーケティング市場の育成に努めます。
・個人情報保護法等の関連法規に配慮しながら不正に関する情報を共有するための枠組み作りを進めます。

ティム氏によると、業界団体によるこうした3者間にまたがるガイドラインは、アフィリエイト先進国のアメリカにもなく、日本が初めてとのこと。アフィリエイト業界は「幼稚園を卒業」したばかりで、まだまだ大きく拡大してゆく・・・という期待の言葉で、ティム氏のスピーチは終了した。

続いて、加盟各社社長からのコメントがあり、質疑応答へと続くのだが、長くなってしまったので、いったんここまでで終わりにする。

>続く

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