昨年5月以降、岩手・宮城県の津波被災地でいろいろなボランティア活動をさせてもらっていたが、「いつかやってみたい」と思っていた“漁業復興支援活動”に参加させてもらった。
地元・埼玉県上尾市のボラバスで、7/13夜~7/16の4日間(実質3日間)。
昨年は月1のボランティアバスを社協が出していて(参加レポート)、今年2月からはそのボラバスOB達が中心となって「ReVA」というチームを組み自主的にボラバス運行(参加レポート)。
そして2012年度も継続支援の予算が確保され、6月以降は社協主催・ReVAが協力する形でのボラバス運行が始まった。活動は「陸前高田市・広田湾のカキ養殖事業を継続支援」だ。
今回はそんな「イカダ作り」風景を紹介したい。
「奇跡の一本松」でもよく報道されてきた陸前高田市は、リアス式海岸の入江の突き当りにある大きな町で、市役所周辺も含め、市内中心部のほぼすべてが、津波で流されてしまった場所。
ライブビューで見ると、今の市内中心部の様子を少しずつ進みながら見ることができる。時間があったら是非、市役所周辺の様子などぐるっと見てみてほしい。画像撮影は2011年8月だが、今もまったく変わらない風景が広がっている。
その陸前高田市に面して広がるのが広田湾。
牡蠣の養殖が盛んで、近くに大きな工業地帯もないため水質がよく、料亭などに卸す良質&高級な牡蠣がとれるそう。
初めてここに来た昨年7月には、津波で流されほとんどなかったが、今は牡蠣・ほやの養殖の浮きやいかだがたくさん浮かんでいる。
これが、牡蠣の養殖イカダ。
縦に7本・横に8本の丸太を組み合わせ、さらに斜めに押さえで一本。
そして8個の青い大きな浮きをとりつけている。
このイカダの下には、75本のロープが吊り下げられていて、一本のロープには400粒の牡蠣の稚貝が埋め込まれるそう。
400粒×75本=30,000粒
おおおっ!!!
・・・と思ったが、実際には水揚げした後の選別をした結果、出荷できるのは40%程なんだとか。それでも12,000粒。すごい!
作業場所は、広田半島の海辺近くにある空地。
まわりには3種類の浮きがきれいに積み上げられていた。
単に色違いということでなく、それぞれ用途も違うらしい。
それにしても未使用の浮きってきれいだなあ!
そして今回利用する丸太がこれ。
間伐材の杉の木だとのこと。
ちなみにその奥にある、きれいな緑で覆われた堤防。
・・・ではない。
登って、上でお弁当でも広げたい気分になるが、それやったらちと危険な場所だ。何故かというと・・・
ここは、陸前高田市内で大量に発生した瓦礫の仕訳場所で、
手前のきれいな緑の小山も、元は瓦礫の山。
もともと土を多く含むものだったのか、あるいは堤防的な役割になるよう土をかぶせて固めたのかはわからないが、一気に雑草が芽吹いて緑の山になってしまったところだ。
長さ2種類の丸太を運び、並べて組み合わせていく。
短いほうは、2本組×4セットで。
これは、丸太にボルトを差し込むようの穴をあける電動ドリルのための発電機。
男性陣が中心になって丸太を並べている間に、女性陣は長いボルトにナットとワッシャー(座金)をとりつけていく。
ボルトは長いまま差し込んで、余った分をカットして次に使うためのもの。まずは最初の分のナットだけ取り付けるので、30~40cmくらいのところまでまわしていく。
丸太のほうも、ちゃんと均等に並ぶよう巻尺で計測しながら。
二基目・三基目も同じ幅で作れるよう地面に目印などつけていっていた(実際には一基目の上にさらに丸太を積んで二基目を作ったので、地面の目印は不要だった)
そしてさっそくボルト止め。
電動ドリルで次々穴をあけてゆく。
ねじりはちまき男性は、作業手順など教えてくれた地元の佐々木さん兄弟のひとり。とっても陽気な方々で楽しかった。
慣れている人の補助のもと、順番に電動ドリルでの穴あけ体験。私も教えてもらいながら初挑戦。穴あけ楽しい!すぽっと貫通した瞬間が気持ちいい!
上尾ボラバスではこうして一通りの作業を全員ができるよう配慮してくれるのも嬉しい。
開いた穴に先ほどの長いボルトを差し込み、下にまたワッシャーとナットを取り付けて軽く仮止め。
ある程度ボルト差し込まれた段階で、ラチェットレンチ使って本締め。モノ作りって結構夢中になってしまう。どうしたら早くできるかなとかいろいろ考えているだけで楽しい。
もう一人の佐々木さん。
今回上尾ボラバスの活動のためにいろいろお骨折りしてくださった方だ。
余った丸太を電動のこぎりでカットしてゆく。
これは、燃料を入れるタンクがついていて単体で発電もするタイプ。
その間、空地の奥では別の作業が進行中。
何をしているかというと、イカダから吊るすロープのカット作業。
7メートルで切る必要があるので、最初に地面に杭を同幅で打ち付け、そこにロープをぐるぐる巻きにしてゆく。
使うロープは、太さ14㎜で二本の縄をよった「タストンライトカキ縄」というもの。1巻300mなので、42本とれる計算。
最後に両端をカットし、端を硬く結んでほつれないようにしてゆく。
このロープの間に稚貝を埋め込んでいくのか~。
1本に400粒。
もちろんその作業も全部人手だろうから、結構大変だ。
でも機会あったらやってみたいな。
今回、三連休で金曜日の夜出発したため、作業できる時間は2日と半日。二日目は残念ながら雨が降ってしまったため牡蠣養殖イカダ作りは中止となり、別の場所で、畑の小道作りと除草作業になった。
これはこれで面白かった。
そして晴天となった3日目に再びイカダ作り作業を再開。
残念ながら浮きを取り付けるところまではできなかったが、イカダを3基分作り、ロープも用意してくれていた分だけ切り終わった。
差し入れにいただいたトマトが・・・
すごく美味しかった!!!
こうして、牡蠣養殖イカダ作り作業は終了。
自分にとってはすべてが「初」で本当に貴重な体験。
本当に楽しく、大満足!!!
(ご兄弟でまとめちゃいますが)お世話になった佐々木さん、
本当にありがとうございました!!!
今回は他にも盛りだくさんのボラバスだった。
気仙沼の復興屋台村でまんぼうの刺身を食べたり、男山の「蒼天伝」飲んだり、
広田半島の仮設住宅があるモビリアで作業途中にお弁当食べていたら、地元でおやつとして人気の蒸しパン「がんづき」をいただいたり、いろいろ楽しいことだらけ。
早朝散歩では、気仙沼で陸に打ち上げられた船も見にいった。
陸前高田もそうだけど、気仙沼も地盤沈下がかなりひどく、大潮で高波だと陸地に水が入ってきてしまうため、道路はカサ上げが行われている。この道も、のり面見てわかるように、かなり地面からは高い。
なので建物を再建して街を復興しようにも、地面のかさ上げが必要で、その土砂の確保などいろいろ難題は多いようだ。
陸前高田ボランティアセンターは、今でも必ず、ボランティアに来た人達が帰る時には、めいいっぱい手をってくれる。「また帰ってきてくださいね」とも。
本当になんというか「胸熱」になる瞬間だ。
たくさんの人が生活していた空間すべてが、
丸ごと瓦礫になってしまった場所。
世の中的には次第に大震災の記憶は風化しつつあるけど、現地はまだこんな状態。
今は、観光ツアーで現地を訪れることもできる。
地元の方が案内役となって津波被害状況を見て回ったり、その後の避難所での生活体験などの話を聞くというアクティビティが含まれているものもある。
ボランティア活動である必要は全くないと思うので、機会があったら一度、何らかの形でこの三陸の現在の状況を生で見ておくことには意味があると思う。特に子供や若い人は。
まもなく夏休みで旅行計画を立てている人も多いだろう。
ぜひ、東北沿岸部をまわるツアーも候補に入れて検討してもらえたらと思う。
宿泊場所も営業再開しているところ多いので、
個人的に新幹線や夜行高速バスを使って行くこともできる。
陸前高田や大槌町は、街全体が被災しているため市内中心部での宿泊は難しいが、気仙沼や釜石などに宿泊して、そこから地元の方が使っている路線バスやレンタカーでまわることもできるだろう(昨年末に路線バスで旅行した時のレポート)。
毎回くどいようだけど、実際に訪れて自分の目で見ることが大事。
防災意識なども変わることもあると思うので是非!