いわきの秘湯「吉野谷鉱泉」は訪れる価値あり!

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福島県いわき市は、東京からなら特急で2時間半。高速バスも30分おきにでており約3時間。温泉観光地としても栄えている場所で、ハワイアンズやいわき湯本温泉など、多くの人が訪れている。今は復興需要もあり市内はホテルがとりにくいほど。

そんないわき市の、駅前から東に少し行った巨大新興住宅街のど真ん中に、突如こんな(↑)湯治場風情漂う温泉が出没することを、知らない人も実は多いのではないだろうか。

私もいわきは計6回ほど行っているが、全然知らなかった。


吉野谷鉱泉
1名利用時 税込4,100円(素泊まり)

じゃあ無名の宿なのかと言うと全くそんなことはない。
どうやら温泉好き、特に秘湯好きには知られたところらしい。

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今回、南相馬ボランティア活動に参加する前泊宿としてここに父と宿泊した。
以前から泊まりたく、一度予約したものの諸事情でキャンセルしていたため感慨もひとしお。

期待をまったく裏切らない外観の写真を撮っていたら、庭のほうから男性のよくとおる声が聞こえた。

「いらっしゃい!」

どうも宿の方のようだが、何やら親戚の家にきたかのような挨拶。

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建物に入り、宿主さんの居住区なのだろうか、入口に一番近いこたつがあってモノがひしめきあう和室に通され、そこで宿帳記入。そして長い廊下を歩いて部屋に案内された。

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部屋はこんな感じ。
既に布団も敷いてあった。

1人予約でも2人予約でも素泊まり税込4,100円なので、だったら別々に予約して部屋2つにしてもよかったなあなんて思ったり。

部屋にはこたつもあり、昔ながらの湯治宿風。
翌朝出発が早いと伝えたところ、入口が閉まってしまっているので、靴を部屋のすぐ前までもってきておき、その出口から出ていけばいいと。

ちなみに部屋には特にカギはない。

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廊下には流しも。
いや~、こんな味わい深い宿泊まるの、ほんと久しぶりだよ!!!

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中庭。
竹を渡した台は、何か野菜など干すためのものだろうか。

写真左側の赤い屋根の建物は子供のための学習塾になっており、向かいの建物も宿泊棟。

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散歩兼ねて覗きに行ったら、なんと「新館」と書かれていた。

こんな年季入った新館、人生初!!!

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ここは宿泊者共有スペース。
やっぱり湯治客が多いのだろうか。夜はここでみかんでも食べながら語らいあったりするのかしらん。

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そして温泉。
到着時に案内してくれた男性が、丁寧に説明をしてくれた。

浴室は2つあるのだが、宿泊者が少ない日のためか、使うのは手前の1つのみ。なので女性専用時間とそうでない時間にわかれている。そうでない時間は基本、混浴と言うことらしい。

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手前が脱衣所で、奥に浴室。

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おお、いろんな方の写真で見たままの浴槽!
2つの蛇口に「渋水鉱泉水」と「白水鉱泉水」という表示がある。

温泉専門情報サイトの訪問レポートには、ここの泉質についてこう書いてある。

湯は無色透明。灰色の湯の花が少々見られ、また、日によっては白濁、黒濁、赤濁することもあるそうだが、私が入った時は、まあほとんどクセらしいクセはなかった。 しかしここの湯、効能的には凄いものであるとのこと。ストロンチウムやプロミンを含有する、非常に珍しい泉質で、特にリュウマチや神経痛、腰痛には絶大な効果があるらしい。なんでも、全く歩けなかった人が、この温泉に入ると歩けるようになったとか...

ストロンチウム!?

って、原発事故の時にセシウムとかと一緒に、どこでどれだけ検出されたとか騒動になっていたあれだよね。いいのか?と思ったけど、どうも天然ストロンチウムはむしろ効能があるらしい。ラドンとかと一緒か。

鉱泉自体は冷たいので、浴室すぐ裏にある窯で薪を焚いて過熱している。先ほど到着時に声をかけてくれた男性は、どうもその風呂焚きの作業などもしていたようだ。自分が温泉に入っている時も、なにやら作業している音がすぐ裏で聞こえた。

脱衣所には、呼び鈴が置かれていて、

「もしぬるかったら鳴らしてください」とのこと。そうすると薪をくべて湯温あげてくれるらしい。

逆に熱すぎたら、好きなほうの蛇口をひねって鉱泉を追加して水温を下げる。

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無味無臭なのだが、なのに非常~に「温泉に入ってる」感が味わえる。

入ってすぐ、手で腕をさするときゅっきゅっと引っかかる感触。
誰かが訪問日記で「お湯が中に入ってくるような」と書いていたけど、確かにそんな感じ。なんとも不思議な温泉体験だ。

そして、それほど長時間浸かっていたわけではないのだが、体がかなり火照った。風呂上がり30分くらいして食事のために外出し、10分ほど歩いてバスに乗ったのだが、バスに乗っている間もまだ、汗がにじんだほどだ。

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2つの浴室は曇りガラスで仕切られているが、上部はつながっている。

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浴室でたところにある白水鉱泉水の蛇口。
宿泊者は1人ペットボトル1本分まで持ち帰っていいそう。

貴重なお湯なので、ぜひ忘れず空いたペットボトルを持っていこう。

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自分たち以外の宿泊者とはすれ違わなかったが、こんな作りなのでどの部屋に人がいるかはすぐわかる。自分たちが泊まっていたときはおそらくもう2組ほどが宿泊していたと思う。

3月11日で慰霊祭などもあり、いわきも南相馬も宿は非常に取りにくくなっていたので、ここは本当に穴場だと思う。

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ちなみに、この宿の周辺だけ隔絶された山間の世界になっているのだが、その周囲は巨大ニュータウンだ。北側にいわき明星大学があり、西側にはびっしり区画整理された住宅街。西側は公民館などが立ち並び、南には「ラパーク」という複合型ショッピングセンターがある。いわき駅や東京駅行きのバスはそのラパークのバス停から出ている。

興味ある方はGoogleマップで位置を確認してみてほしい。
いわき駅からは離れているが、バスの本数が多いので不便はない。

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宿でもらった紙には、敷地内にうさぎがいると書かれていた。
(そしてその紙に手書きでうさぎの絵まであった。なんかチャーミング)

他にリスやタヌキ、イタチも出没されるらしい。

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夜は、この日から始まった復興祈念イベント「いわき光のさくらまつり」を見にいわき駅前へ。

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ピンク色と白色が混じりあったイルミネーションは、暖かさと冷たさが混じりあった、幻想的な美しさを醸し出していた。

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そんなわけで、東京からわずか3時間で行ける湯治宿「吉野谷鉱泉」。
宿の方も非常に丁寧で感じよく、いろいろな意味でワクワクドキドキできる空間。

一度行ってみたらきっと面白い体験になると思う。機会あればぜひ。


吉野谷鉱泉
1名利用時 税込4,100円(素泊まり)

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