初めて買ったノートパソコン。
今日（昨夜）、帰りの電車で一緒だった方とこの話になり、東京駅で別れてからずっとこのパソコンのことを考えていた。
記憶容量が少ない自分。
過去の思い出はあまり保持していないのだが、不思議とC1を買った日のことはよく覚えている。
1998年12月ある日のお昼休み、
総務・経理・人事全般を担っていた女性Aさんに鍵を借りて、会社の自転車に乗って秋葉原に向かった。
その時、どの道を通ったかも覚えている。
何ヶ月間も店頭で触り続け、眺め続けたC1。
理由は忘れたが、この日なぜか突然、「購入解禁」になったのだった。
「パソコンがこんなに小さくなるなんて！」と驚愕で迎えられた最小バイオ「PCG-C1」が発売されたのは、公式サイトを見ると1998年9月。自分が銀行を辞め、一年間のぷーたろー生活を経て、検索エンジンの会社に就職したのはその数ヶ月前だった。
裏を見ると、当時集めていたポータル各社のステッカーが貼られている。
今ほどはインターネットが成熟していなかったので、有名サイトといえばプロバイダか検索エンジンかブラウザ。
「ポータル戦争」という言葉も使われていたが、下っ端で働いている分には、忙しいながらも、まだまだマイナーな業界の、どっかほのぼのした世界があった気もする。
（入社した時は社員数１桁で、C1買った頃も20名とかそんなもんじゃなかったかな）
これがYahoo!のステッカー。
自分が働いていたのはここ。
インターネットのことも、広告業界の基本も知らず飛び込んでしまったので、周囲に迷惑もかけたと思う。でも生まれて初めて「仕事ってこんなにエキサイティングで、面白いことだったんだ！」と思えた場所だった。
ちなみに、バイオを初めて見たのは、97年の幕張メッセでのイベント。
WINDOWS WORLD Expo？
WORLD PC EXPO？
細かいことは覚えていないが、とにかくぷーたろー時代だ。
「ソニーがパソコン？」
ブースはすごい人だかり。
隙間から覗いたパソコンは、噂どおりのパープルカラーで新鮮だった。
ロゴが大きく「あれ？逆さま？」というような話を同行者としていた気がする。
ちなみにC1のVAIOロゴ、エンボスになってるっぽく見えて、実は平ら。
それはそれで、ネタとして楽しかったりする。
何年ぶりかに開いてみた。
ああ、懐かしい。
どうしようもなく懐かしい。
このパソコンには、夢中で仕事していたミレニアム前後の思い出が詰まっている。
自転車のかごに入れて会社に戻る途中、事故を起こしてもおかしくないほどに「ウキウキ」だった。お昼休みが終わっていたにもかかわらず、自分の席でいきなり開梱作業。
普段、そんな風に仕事放棄することはなかったが、この時だけは特別。
ずっと欲しがっていたのを知っていた人も何人かいて、さらに、C1に興味持っていた人も多かったので、特にとがめられることもなく、入れ替わり立ち代り、当時いっしょに働いていた人が「あ、買ったんだ」と覗きにきた。
その時にC1付属カメラで撮影した写真が、今も全部残っているはず。
この「CAPTURE」というボタンがシャッターだった。
一回だけ、アメリカにご褒美出張させてもらった時も、これを持参。
本社のスタッフが「ワオ！」と日本製のキュートなパソコンに歓声をあげていた。
内蔵カメラを起動して撮影すると、そのアメリカ人スタッフが驚いて周囲をきょろきょろと見回す。
「今、何で撮影したんだ！？」
ディスプレイ上についた小さなカメラ「MOTION EYE」を指差すと、目を丸くして驚いていた。３都市周遊したその出張では、このC1がいい話のネタになった気がする。インターネット後進国からやってきた自分たち、このC1見せびらかしの時だけは、ちょっとリスペクトの視線で見られた。
C1は、その後2001年のエジプト旅行にも一緒に行っている。
約３週間の旅行中、国際ローミングサービスを使ってネット接続し、現地から旅行記を更新し続けていた。それがこのサイトだ。今考えれば、ダイアルアップでよくやったよな・・・と。
実際、すごく小さい。
でもこのC1で、恐らく国内では相当古いアフィリエイト専用情報サイト「アフィリエイトINDEX」を更新し、メルマガを配信していた。一番最初は、無料ホームページサービス「Tripod（トライポッド）」の中、そして途中からはインターネット広告業界で有名だった「surfpenguin.com」の波乗りペンギン氏にスペースを無償でお借りし、運営していた。
「このC1が一台あれば何でもできる」
そんなライフスタイルのイメージも沸いてきた。
C1購入は、自分の中にあった何かを目覚めさせた気もする。
電源ケーブルがこんな風に巻き取れるようになっていたりもして、そんなのも嬉しかった。
迷彩色のキルトで、専用ケースなんかも自作。
裁縫苦手な自分が、手縫いでバイアステープで縁取りまでしているから驚きだ。
当時の執着度合いがうかがえる。
ところで。
まだ立ち上がるんだろうか？
立ち上がった！！！
しかし、途中で止まった。
CMOS電池消耗？そりゃそうだよな。
F1をクリック。
久しぶりに見る、Windows98のオープニング。
そして、おおっ！
なんと浜崎あゆみが黒いレトリバー犬を抱いている写真が壁紙になっていた。
うーん、懐かし～。
しかし、Windowsにログインできない。
98年から2001年にかけて自分が使っていたパスワードって何だったっけ？
エラーを繰り返してやっと正解に到達した。ふ～っ。
キーボードももちろん小さいのだが、指先が感触をしっかり覚えていた。
デスクトップも当時のままだ。
なんだか、ボンペイ遺跡発見！って感じ。
これがわかる人、限りなく少数。
（当時の同僚だけです／アイコン作ったのは自分）
ブラウザはIEとネットスケープ・ナビゲーター（今はSleipnir）。
メーラーはEudora（今はBecky!）。
マイドキュメントの中にはいったい何が入っているんだろう。
わくわく、どきどき。
う゛っ！（←存在してはいけないものを発見してしまった時の音）
こんなものも。
中を見ると「おばけけむり」とか「キャンディー」とか入っている。
そうそう。
初日にいっぱい撮影した写真も残っているはず！
探してみたらあった。
仕事の進め方とかいろいろ教わった直属のマネージャーUさんの満面笑顔。
お、それはなんだい？という顔の社長Yさん。
タイムスタンプを見ると夜11時近い。当時は連日当たり前のようにその時間帯まで仕事していたが、Yさん、残ってる社員に軽く声をかけながらまわっていた記憶がある。
そしてパーテーション越しに「へー、買ったんだ～」と声をかけてくれた、今でもとっても尊敬しているJさん。今自分がこうしてインターネット関連の仕事をしているのは、本当にこの人のおかげなんだよな。
ああ、懐かしすぎ。
そして自分の写真もでてきた。
わお。
こんな髪型だったんだ！
懐かしいというより・・・「これ誰？」って感じ。
また髪伸ばしてみようかなあ。
ということで、しばしC1に詰まった思い出にふけってしまった。
たまにはこういうのもいいね。
明日からまた、初心にかえってお仕事しよっと♪