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多様性のあるネット社会を~大内範行氏に聞く (4)

写真それ自体が目的化してしまうということは、SEOだけでなくアクセスログ解析でも起こります。

ログそのものは結構不安定で不確実なデータなんですが、わからないことも全部わかろうとして、袋小路に入ってしまいがちです。「わからない部分もある」という割り切りも必要なんですけどね。

途中で一度、作業している自分自身を客観的に外から見れるようになると、仕事が違った形で進むなということが、僕自身もよくあったりします。

その話でいくとこんなことがありました。

SEOを一生懸命やっていたお客さんがいて、でもよく調べてみると、検索エンジンから来ていたユーザより、浦和レッズのサポーターで、ユニフォーム紹介をしているブログからのほうが、ぜんぜん買い物してくれる率が高かったんです。

写真そういうことがわかってくると、検索エンジンも確かに大切なんだけど、そういう濃い仲間とどれだけつながっているかが大事になってきます。今のソーシャルメディアみたいな話に自然とつながってきて、いかにコミュニティを作って、その中で商売をしていけるかという話もでてくるわけです。

ネットで外へ働きかけてゆくマーケティングをやるのは、なかなか難しい面があります。
SEOが流行った理由のひとつは、自分のサイトの内側で細かいところを改善してゆくだけで、外からの訪問者も増えるという部分があります。

本当はもっと、外との関係をどう作っていくか、リレーションをどう作り上げてゆくかも大切で、その中で逆にリンクが生まれたり順位があがったりとかいうことが起こってくる。

ここでもSEOはあくまで発見や出会いの手段で、本当はその後の濃く息の長い顧客とのリレーション作りが重要なんです。

今後はそういう話のほうが面白くなってくるのかなと思っています。

世間一般ではそんなに話題にならないけど、近しいテーマでつながってゆく世界の中で、十分ペイするくらい売れているとか。ちっちゃいコミュニティをベースにしたビジネスが、今後結構増えそうだなと。

そういうリレーション形成の手段の多様性というのは、大事にしていきたいな、と。

そう考えていくと、欧米ではGoogleの力がどんどん大きくなって、Google一本やりになってゆく世界があるんだけど、日本のネット市場はそれとはまた違う方向に進んでいくのかなと。

理想とする世界は、どこかひとつだけが強いのではなくて、バランスがとれていて、いろんな強い人がいて、この人たちにとっては、この検索エンジンがよかったり、この人たちにとっては、この経路がよかったりとか。

そういうのが、わさわさといっぱいある。
そういう社会のほうが、ネット社会としては健全かなというようなことをずっと考えています。

なので、検索エンジンという点では、日本ではGoogleだけでなくYahoo!も依然として大きなシェアを持っていますし、さらに第三・第四の勢力が生まれることを期待しています。

写真


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お話を伺っていて印象的だったのは、「本来“手段”であったはずのものが“目的化”してしまう」ということが往々にあるという部分でした。そもそも何のためのSEOなのか、何のための集客なのか、WEBサイト運営なのか、このインターネットというツールを利用しているそもそもの目的は何だったのか・・・。時に立ち止まって、自分自身に何度でも問いかけてゆく必要性があると感じました。

そして、今のインターネットの世界の動向を単に“観察”“分析”するだけでなく、あるべき姿を模索し、その実現において自分に何ができるのか考えようとする姿勢に刺激を受けました。

大内さん、お忙しい中お時間をいただき、また貴重なお話をお聞かせいただき、本当にありがとうございました。



●大内範行のプロフィール(大内プロデュース)
●できる100ワザGoogle Analytics(大内範行 著)
●できる100ワザSEO&SEM(大内範行 ジェフ・ルート 安川洋 江沢真紀 著)

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