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Google主催「Big Tent」~自然災害と IT 活用に関する国際会議

7月2日にウェスティンホテル仙台でGoogle主催イベントがあり参加してきた。
名前は「Big Tent」。自然災害と IT 活用に関する国際会議だ。

●Google イベント | Big Tent 2012 自然災害と IT 活用に関する国際会議

近年、災害発生時に、家族の安否をはじめ避難所や食料、医療支援に関する情報、さらには被災された方たちの支援活動のために、ウェブやモバイル、ソーシャルメディア等を活用する動きが世界的に広まっています。

たとえば、東日本大震災やニュージーランドのクライストチャーチ地震では、家族や友人の安否情報の確認のために、パーソンファインダーが利用されたり、2010 年のハイチ地震の際には、ウェブの地図作成ツールを利用してインターネット上で集まった多数のボランティアが詳細な地図を作成し、この地図を災害救援隊が活用しました。また、クライストチャーチ地震では、ソーシャルメディアを利用して学生ボランティアの組織化が行われるなど、ウェブの活用が、被災地の人々や災害救助隊、そして世界中の人々を結びつけ、支援に活用されています。

プログラムはこんな感じ。

9:00 - 9:25開会の挨拶
9:25 - 10:10被災地で求められる情報とは何か
10:10 - 10:25みんなで作る地図 - 災害救助における市民参加型地図製作の意義
10:25 - 10:50基調講演:マルガレータ・ワルストロム氏 (国連事務総長特別代表 防災担当)
11:10 - 11:55ネットからリアルへ:救助・救援・復興まで、被災地における支援の計画と管理
11:55 - 12:40災害時のソーシャルメディア活用法について考える
12:40 - 12:45古川元久内閣府特命担当大臣(科学技術政策)によるビデオメッセージ
1:00 - 1:20ランチョンセミナー: 安否情報へのアクセス: パーソンファインダーの意義
1:50 - 2:00次世代の緊急警報放送:身近なテクノロジーを活用した効率的なコミュニケーション
2:00 - 2:45災害のアーカイブデータを活用する
2:45 - 3:15災害に強い通信インフラストラクチャーとインターネットの構築
3:35 - 4:20政府の情報を人命救助に役立てる:データへの自由なアクセスと情報共有
4:20 - 4:45震災対応におけるIT活用の未来
4:45 - 6:00レセプション

この日の朝まで岩手県の大槌町にいたため(おおつちありがとうロックフェスティバル)、私が到着した時には11時台のプログラム「ネットからリアルへ:救助・救援・復興まで、被災地における支援の計画と管理」の途中だった。

一部除いて、登壇したパネラー・講演者はすべて英語。
質疑応答の時も、大学生含めみな英語という本当の国際会議。

自分の乏しい英語力では話の内容は半分もわからないので、残念ながら同時通訳に頼らなくてはいけなかったが、内容は非常に濃いものだった。

特に興味が湧いたのは、膨大なデータをどう「実際のアクションにつながる形」に活用できるか。そしてどう共有するか。

例えば地名と数字の羅列だけのデータも、それを地図と重ねあわせることで防災アクションにつなげていくことができる。さらにソーシャル連携も行うことでリアルタイム性が高まる。

今まで「単語」でしか認識できていなかった「ビッグ・データ」のすごさを初めて実感した一日だった。

海外の行政の事例なども発表され、正直、自分の頭では消化しきれないほどの内容。

企業の取組事例発表も非常に感銘を受けた。
Amazonとクロネコヤマトが連携して、被災地のニーズをマッチさせ津波被害甚大な場所にモノを配送した事例や、NTTそしてNTTドコモが、震災後にいかにインフラ復旧を行ったか、また今後起こりうる大震災に備え今どういった対策を具体的に進めているかといった話も。

私自身が初めて被災地に足を踏み入れたのはGW明け。
その時にはかなり状況は落ち着いていたものの、物資やマンパワーのニーズマッチは、現地にいても結構大変なことだというのは感じた。

「そんな場面ではITなんて役に立たない」

という声も確かにあり、それも一理あるんだけど、結果として非常に多くのロスも発生してしまっている今回の事例を踏まえ、「もし次に同様の災害が発生したら、ITを駆使してより効率的に支援活動ができるよう」、今こそその仕組み作りを本腰入れて行う時だと思う。

今回、行政・団体・企業・個人が各地でそれぞれ活動した記録を吸い上げ、まとめていくことで得られるデータもあるだろう。

例えば初期の被災地での物資ニーズが1日目・2日目・一週間目・一ヶ月目とどう変わっていくかなども、環境変化など写真・イラストも交えてビジュアルでわかりやすい資料を作成することもできると思う。お年寄り、子供のいる人や妊婦さん、避難所で長期生活する人や被災家屋に戻る人、水道が通っている地域とそうでない地域、年配者比率の高い地域とそうでない地域など、切り口もいろいろあるはず。そうした諸条件入力すれば、想定される必要な物資ニーズを提案してくれるシミュレーションソフトも作れるだろう。もちろんあくまで「想定」だが、今回のように、暗中模索状態で全国から支援物資が集まり、倉庫にかさばる古布団が大量に積み上げられる事態など少しでも防げる気がする。

これらはウェブ技術を活用したほんの一例に過ぎず、Google では、インターネットが、大きく災害救助・救援活動の支援や効率化に貢献することができると考えています。

Big Tent 2012 では、このようなテクノロジーが持つ可能性を探求し、自然災害による被害と救援コストを軽減するために、各国の先進事例と成果を共有し、今後の災害/防災におけるソーシャルメディアを始めとした IT 技術活用の可能性および乗り越えるべき課題を議論します。

残念ながら、会議内容をここでシェアできるほどちゃんとメモを取ることもできなかったが、本当にいいインプットになった。

昨年の3月以降、「自分に何ができるのか」ずっと考えてきた。

結果、自分にできることは、「自分自身の体験をネットで発信」「それによって同様のニーズ・疑問を抱えた人にとってちょっとでも役立つ情報を提供」することだろうという結論に至った。

微力ではあるが、当ブログ関連記事および「復興支援ボランティアにGO!」 を通じて、少しは何かできたのかなと思う。

思いつつ・・・。

他の被災地支援活動をしている人達がきっと皆そうであるように、正直ベース、「きっともっと何かできるはずなのに」というもどかしさもいっぱいだったりする。

今回学んだ海外事例なども頭に入れ、もっと何ができるのか、次に備え何が必要になるのか、真面目に考えてみたいと思う。

<関連記事>

●【Big Tent: 2012報告(1)】自然災害とIT活用に関するGoogle主催の国際会議が日本・仙台で開催 | Impress Innovation Lab.

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