小笠原・母島体験(6)固有種の宝庫、南崎ハイキング&小富士登頂【PR】
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この記事は、reviews(レビューズ)より依頼した企画です。

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今回、母島観光のハイライトは到着2日目の「南崎ハイキング」。

事前に申し込んでおいた東京都認定の自然ガイドの芝崎さんに案内してもらいながら、細長く伸びた母島南側の遊歩道を歩き、南端の小富士そして南崎まで行くというコースだ。

●小笠原自然ガイド「uli-hahajima」ガイドプロフィール

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スタート地点はここ。

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都道最南端。
先日九州ツーリングで本土最南端、北緯31度の佐多岬を訪れてきたばかりだが、まさかそれよりはるか南、北緯26度37分に都道最南端があるとは思いもしなかったよ。

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まずは階段を下りて自然遊歩道の入口へ。

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ここで大事な作業がある。
自分自身のクリーニングだ。

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植物外来種の中には、意図的に持ち込まれたもの以外に、島外からやってきた人に付着した種が発芽し、繁殖してしまったものも結構ある。植物だけでなく、靴の裏に付着した土には昆虫の卵が含まれている場合も。

母島の南崎一帯の固有種を守るためにも、ここでしっかり靴の裏の土を落とし、ズボンに付着した植物の種などを落とすことが大事。

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まずはコロコロを使ってズボンの付着物をとる。

さらにブラシで、靴の裏の土を落とす。
父島でその作業をした人も、ここでまた新たに必要となる。というのも、父島は母島以上に、外来種が繁殖してしまっており、まだ母島では生息確認していない外来種もいるためだ。

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最後は靴の裏にスプレー。
中身は何かというと殺虫効果のある「お酢」。

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特に警戒されているのが、カタツムリを食べる小さな生物「プラナリア」。靴底の土に紛れて運び込まれてしまうのだという。これによって小笠原にしか生息しないカタツムリの数が激減している。

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ここの自然遊歩道はきれいに整備され、非常に歩きやすい道だ。ただしその両脇は、何本もの太い根を地面に伸ばした「タコの木」などが密集しており、まさに熱帯ジャングル。

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タコの木と、傘の骨のように細長い葉を円形に伸ばしたオガサワラビロウが密集し、強い日の光もしっかり遮ってくれる。帽子がいらないほどだ。

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枯れた葉をだらりぶるさげているオガサワラビロウ。

根を伸ばしまくるタコの木で、まるでマングローブ林のよう。木が傾くとそちらにまた根を伸ばし、「歩く木」の異名もあるのだとか。

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足を伸ばしまくりのタコの木。

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これは地面に向かって伸びている途中のタコの木の根。
先っぽが黒い膜で保護されているが、接地するとそれがとれ、あとは直接根が地面に潜っていくのだという。

遊歩道はガイドなしで入ってひとりで歩いてもいい場所なのだが、やはりこうして細かく説明を受けながら歩けば勉強にもなる。とりわけ私たち素人には、どれが固有種で何が外来種かの区分すらつかないので、そのあたりの話や、固有種保護のための懸命の取組についてうかがえるのは貴重だ。

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タコの木の実は、熟すと甘い、ハチミツ臭がする。歩いている時も時々その香りがあたりを漂っていた。

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こんなプレートもあるが、携帯電話の電波入らないエリアなのでQRコードはその場では読み込めず残念な事態に。ただ写真に撮っておけば後で写真からQRコード読み取り情報を得ることができる。

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この地図の緑色で塗られた場所が森林生態系保護地域。
2007年に林野庁によって定められ、固有の生態系の修復のための取組や、外来種がこれ以上入り込み繁殖しないための措置などがとられている。

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母島のこのエリアでぜひ見たいのが右上の「ハハジマメグロ」。小笠原のゆるキャラ「おがじろう」の頭にちょこんと止まっていた小鳥さんだ。

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アカテツだったかモモタマナだったか。

こういう幹の太い木は、普通はまっすぐ伸びるものだと思っていたが、この木はまるで雷に打たれて割れたかのように、四方八方に幹を伸ばしている。そうして低い姿勢で葉をしげらせている。

他の場所では、板根が地上に露出しているところもあった。
火山によってできた島なので、実は土の層はそれほど深くはないとのこと。

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ここで後ろからやってきた人とすれ違った。歩き始めてから自分たち以外の人に会うのはこれが2人目。

最初の一人は「今日は猫じゃなくネズミなんです。どうぞお先に」とガイドさんに笑顔で挨拶していた。そして今回の人はガイドさんが「お、アリですか」と。

「調査の人なんですか?」とガイドさんに聞くと、そうなのだと。最初の人は外から入り込んだ猫やネズミの動向を調査している人で、次の人はアリ駆除の薬を設置している人だそう。

それがこれ。

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外来種ツヤオオズアリを駆除するため、円盤状の網に入ったアリ駆除剤を地面に置いている。

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網に入れているのはアリ以外の昆虫や鳥などが食べてしまわないようにだ。実は固有種のアリをも殺してしまうのだが、今はこの繁殖力の強いアフリカ原産のアリを駆除することが優先されているとのこと。

天然記念物にもなっているカタツムリを捕食してしまっているからだ。

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さらにガイドさんが指示した木の幹を見ると、そこにはピンクのテープが巻かれていた。「HM02 カメラ」と書かれている。

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その奥には野ネコの動向を記録するためのカメラが設置されていた。

散策中にもよおしてしまって・・・なんて時は、カメラ設置場所にも注意を払わないといけない。結構な数が設置されているようなので。

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ネコを捕獲するための罠も。

小笠原諸島でとらえられた猫は、本土に里子にだされている。野生の中で育ったネコを家庭で飼うことができるんだろうかと思ったが、意外にも大丈夫らしい。でもきっと、生まれた時から街育ちのネコとは違って、小笠原のジャングルの中で培われた野生はきっと一生ものなんだろうなあ。

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蓮池近くには、オオヒキガエル侵入防止柵が張られていた。食用として持ち込まれたものの、実は毒があることがわかっただけでなく、あっという間に繁殖してしまい、旺盛な食欲で昆虫をどんどん食べつくしてしまっているそう。

陸続きになったことがない小笠原の島には、もともとコウモリ以外の哺乳類がほとんどいなかった。鳥や流木などによって運ばれてきた植物と昆虫だけが繁殖していき昆虫天国だったが、そこに人によってカエルやネズミや猫、そして強力な外来種のトカゲが入り込み、生態系が大きく変化してしまったとのこと。

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その中でも大きな被害を被っているのがこの子たちだ。
固有種のカタツムリ。

小笠原諸島は固有種の宝庫だが、その中でもダントツに固有種比率が高いのが陸産貝類、つまりカタツムリたち(95%)。この島で独自の進化を遂げ、中にはほとんど殻が退化してしまっているものもいるという。

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赤茶けた砂地が露出した「すり鉢」。
昔は子供たちが、大きな葉っぱを敷いてここを滑り降りて遊んだのだという。

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ここまでそれほどアップダウンのない楽な道だったが、最後、小富士に向かう道はずっと上り傾斜となる。階段を上り続け・・・

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ラストは岩場をはしごであがる。
さすがに息がきれるが、登り切ったところに広がっているのは・・・

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一瞬、呼吸を忘れてしまいそうな展望。

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ずっと歩いてきた道は樹海に埋もれまったく見えない。濃緑、淡い緑、そして薄茶色のまだら模様のこんもりとした森だ。

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記念撮影♪

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さらに尾根状態のところを歩いて行く。
高度恐怖症の人には歩けない道だ。

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先端までくると、入り江の向こう側に南崎が見える。南崎は小笠原の有人島で唯一、カツオドリやオナガミズナギドリの繁殖地となっている場所。

ただネコが入り込んだため、海鳥の営巣はとまってしまい、またグリーンアノールによって昆虫も姿を消しているという。

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そうしたネコ・グリーンアノールの侵入を防ぐ柵が、南崎の先端の手前に設置されていた。

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さて、小富士登頂証明書をあとで観光情報センターで受け取るため、ここである儀式が必要になる。その内容はここでは伏せるが、この上部が丸い皿になった杭がそのためのもの。

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半日4時間のツアー中ずっと、小笠原・母島の自然について語ってくれたガイドの芝崎さん。

もともとは本土でお仕事をされていた方で、10年前に移住、そして4年前からガイドの仕事をされているそう。

事前に「とても楽しい人だよ」と聞いていたのだが、気さくな人柄のもてなし上手な方で、楽しませてくれた。簡単にはこれない母島。知識がないまま歩いてしまったのでは、単に「自然&絶景満喫」で終わってしまう可能性も。

どうせなら専門知識がありこの土地について熟知した人と一緒に歩いたほうが何倍も実りある時間になると思う。

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この後、小富士と南崎の間の海岸へ。

さっきまでいた小富士の頂上に人が立っているのが見えた。恐らく途中ですれ違った、おがさわら丸・ははじま丸で一緒だったSさんだろう。

岩場の色が変わっているのは熱水変質。

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海岸にびっしり転がっている岩は、よくよく見ると珊瑚だった。

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海をどんぶらこどんぶらこと漂流した実が根付いて大きくなったヤシの木。このヤシに限らず、多くの植物や昆虫は、こうしてこの島に流れ着いたケースが多い。

漂流ヤシの木の話を聞きながら思い出すのは、2013年の噴火で巨大化した西之島だ。父島の西約130キロの場所で、噴火の際には父島や母島までその音が鳴り響いたそう。

島はまだ真っ黒い溶岩で覆われた不毛の大地だが、海鳥が既に降り立っている。いずれ彼らや風によって運ばれた種子が芽をだし、土も蓄積し、このヤシのように大きな木も生えてくるのだろう。ずっとずっと先の話ではあるが。

自然の力って偉大だ。

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時間が少しあるということで、行きにはよらなかった希少種のツルワダンが一面に群生している場所にも。

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ここの岩場には、中央のこんもり盛り上がった丸い岩と、同心円に溝ができた不思議な文様の場所がいくつもある。

そうして再び自然遊歩道の入口に戻ってきて、もう一度靴の裏の土を落とし、ズボンをコロコロし、靴の裏に酢をスプレーしてアスファルトの駐車場に戻ってきた。ちょうど4時間ほど。いい運動になった。

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その後、観光情報センターに行き、小富士登頂の証を見せ、証明書を受け取った。

今回は半日しか時間がなかったので赤崎・小富士ルートだけだったが、他にも乳房山に登るコース、石門コースなどがある。母島2泊以上するプランなら、そちらのツアーにも参加して、また違った自然を体験することができる。

詳しくは母島の観光協会サイトに書かれているので、興味ある方はぜひ。

●小笠原母島観光協会~小笠原の旅は母島へ

東京都の観光PR事業の一環として、2016年9月27日から10月2日までの日程で、小笠原父島・母島を訪れています(現地滞在は3泊4日/東京都多摩・島しょ魅力発信事業からの招待)。詳細は公式サイト「tokyoreporter島旅&山旅」にて。
[旅]小笠原諸島2016年9月

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